第4子パパ初育休~口唇裂の子を迎えて(3)妻が「鬼」になったのは、私のせいだ

山口哲人 (2018年1月19日付 東京新聞朝刊)

「イクメン」の真価が問われる夏休み

 さあ、待ちに待った夏休み。第4子が生まれて数日後の昨年7月下旬、長女(11)と長男(8つ)、次男(6つ)の小学校と幼稚園の1学期が終わった。これから私(37)の「イクメン」としての真価が問われることになる。

 育児休業の制度では、原則として子の1歳の誕生日前日までなら、いつでも休みを取ることができる。私が第4子の誕生直後に育休に入ったのは、上の子3人の夏休み対策のためだ。赤ちゃんには唇の上が裂ける口唇裂(こうしんれつ)があり、妻(37)の育児を支える必要があった。

写真はきょうだい3人のエネルギーを発散させるため、西へ東へさまざまな場所に連れ出した=東京・上野の国立科学博物館で

きょうだい3人のエネルギーを発散させるため、西へ東へさまざまな場所に連れ出した=東京・上野の国立科学博物館で

ピアノ、そろばん、囲碁、体操・・・3人の習い事に目が回る

 7月中は次男が通う幼稚園のプール開放のお手伝いをした。プールを設営し、園児の集団と一緒にプールにつかり、徹底的に水を浴びせられる。どうしても手伝えない日は、知り合いのママが交代してくれた。大変だったが、唯一の男手として先生方に喜ばれたのが救いだった。


〈前回はこちら〉(2)好奇の目?勝手に感じ、おびえていた


 夏休み序盤は、3人の習い事をこなすだけで目が回った。長女はミニバスケットボール、ピアノ、そろばん教室。長男はサッカー、スイミング、そろばん教室。次男はスイミング。さらに3人とも、体操と囲碁教室にも通っている。これに小学校の補習やプール開放などが変則的に加わり、スケジュール管理に最も手を焼いた。

 夏休みなのに常に時計を気にする生活は、仕事のときと変わらない。違うのは子どもが相手ということだ。子どもたちはせかされないと動かない。ぐずったり、習い事を切り上げず次に間に合わなくなったりすると、こちらのイライラが募る。そんな中、ふと、こんなことを考えた。

仕事第一で育児への協力惜しんだ我が身を反省

  第1子の長女が生まれるまで、妻は温厚で「天使」だった。それが子が増えるにつれ、ささいなことで怒りを爆発させる「鬼」と化した-。そう私は思っていた。

 だが、実は「ささいなこと」ではなかったのかもしれない。私は同僚女性から「まさかあんたが育休を取るなんて」と驚かれるほど、仕事第一だった。鬼の角がニョキニョキ伸びていったのは、思い通りにならない子どもたちというより、育児の大変さを理解せず、協力を惜しむ夫のせいだったのだ。

上の子3人と西へ東へ 痛い出費も楽しい思い出 

 夏休みの中盤に習い事が休みになると、子どもたちの持て余したエネルギーのはけ口探しに追われた。近所から「子どもを外で遊ばせるな。うるさい」との匿名の手紙をいただいたことがあり、都内の自宅前で遊ばせることは、はばかられた。公園に行っても「ボール禁止」などのルールがあるし、図書館でも子どもたちは騒いでしまう。ならばと、東京・上野の国立科学博物館や、自分の趣味も兼ねて神宮球場へ野球観戦に。せっかくの夏休み、思い出づくりにと遠出もした。

 私と上の子3人で、名古屋市の「レゴランド・ジャパン」と三重県の「鈴鹿サーキット」の遊園地にも遠征した。不運にも台風の暴風雨にさらされたが、雨にも風にも負けぬ子どもたちは大喜び。ほかにも都内の「三鷹の森ジブリ美術館」や、千葉県の「鴨川シーワールド」、群馬県の「碓氷峠鉄道文化むら」、長野県の「チビッ子忍者村」に出かけ、結局、体験を「買う」ことで、魔の夏休みをやり過ごした。「また連れてって」と子どもたちには好評だったが、わが家にとっては痛い出費となった。

 育休中も休業開始前の賃金の最大67%が支給される。だが家族は増えており、給与が減ること自体が大打撃。だからこそ、男性の育休取得が進まなかったり、短期で終わってしまったりするのだろう。まあ、浪費した私が言っても説得力を欠くのだが…。

入社12年目の政治部記者(37)が、昨年7~9月に育児休業を取得しました。典型的な仕事人間だった筆者の奮闘を、5回にわたって連載します。

〈次回はこちら〉(4)待ち受ける手術 意外な「私もそうでした」

19

なるほど!

38

グッときた

21

もやもや...

33

もっと
知りたい

すくすくボイス

  • ひろ says:

    女性の働きにくさ下から2番目の日本。女性に育児も仕事も求められながら、議員を含めた高齢男性の育児に対する価値観の低さ、少しずつ解消されてきたが、少子化対策は票取りのPRばかりで、実質、遅すぎた結果が、今の日本の年齢構成になっている。昔と違って、近所や親の協力も少なく、回りの目も厳しく母ひとりで育児する環境が厳しくなっている。育休が楽と思うようでは、男性も育休を義務付ける位の社会にしていかないと日本は危ないと思う。会社も出来ない理由ばかり言っていたらこれからは伸びていかない時代にきてると感じている。虐待を減らしていくことにも繋がると思う。

    ひろ 女性 60代
  • 匿名 says:

    子供がいるって大変ですね。金はかかるし、女性ならせっかく今まで努力して手に入れたキャリアや学歴が水の泡。
    男性も育休をとれば、出世街道から外される事もあるでしょう。

    親が子育てに力を注がなくても、一般向けの施設があるとか、せめて仕事に集中出来るようにあるべきだと思う。

  • なおとら says:

    共感するところもあれば、そうなのかなぁ。と思う部分もあり自分の状況と照らし合わせてみました。大部分共感する内容でしたけど!w
    つい最近でも妻と子供事で言い争いして結果、解決もせず。。。
    ふと思うと男が働いて、女が育てるという時代じゃなくなってるので、上手く折り合いを持つことと、夫婦の仲が良い事が1番大事な事と思います。夫婦の事、子供の事、家族全体の事など、普通に何でもない話ができる事が、やっぱり大事だと思う、何か気づいたら声かけて、変わってあげるとか、夫婦が思いやりを互いに持てていたら育児と仕事とその他も上手くいくんだろうなと思った次第。

    なおとら 男性 30代
  • 匿名 says:

    7人育児中、36歳です。うち1人は難病です。夫は大きい長男と思ってますww起こそなきゃ起きないし、ご飯は部屋で待ってるし、子供と同じです。でもそれに対して文句もなければやってくれとも言いません。自分でやるのが好きだから、別に手伝って欲しいとも言わないけど、好きなことやれてるし、専業主婦だったけど、スキマ時間にハンドメイドやってるし、子供の行事にもほぼ全部参加してるし。難病の子がいても、楽しくやってます。
    だけど、筆者のようなやってやった感出されるのは嫌いです。
    そーゆー人には、いろいろやってみろ!って言いたくなりますね。ww
    小学生3人学校へ送り出し、幼稚園の送迎、在宅3人(3歳、2歳、9ヶ月)のお世話、幼稚園の送りまでに掃除洗濯、看護(これは四六時中ですがね)、それもお金もかけずww

    色々言ってる人もいますが、好きで産んだので、大事に育ててます♥何より楽しいので!悩んだり、文句言う暇ないくらいに、楽しい忙しさです。
    それから、ひとは何かと迷惑かけて生きてくものだと思ってます。ひとりじゃ何も出来ないから。生まれた時から迷惑かけてきてるから、今は迷惑かけられる番だと思ってますよ笑(๑¯ω¯๑)その連鎖は終わらない♡

      
  • 匿名 says:

    都会のようなご近所さんとの間隔が狭い所だとクレームもきて不思議はないでしょう。壁一枚隔てた先には違う生活をしている家族が大勢います。
    子供、子育て世帯に理解ある社会に周りの協力は必要ですが、逆を言えば子育て世代は周りに迷惑にならないように子供に教える義務があります。
    子供らしく伸び伸びと育てる中にも教育は必要なのです。(やって良いこと悪いことをおしえる)

    当方比較的自由に遊ばしてもらった子供時代を過ごさせてもらった年齢のものですが、当時は私たち子供が迷惑になることややってはいけないこと、危ないことなどを近所の知らないおじさんやおばさんが自然と教えてくれたり注意してくれたりしましたが、今は口を出そうもんなら下手すりゃ訴えられかねない世の中です。
    今の大人が行動に起こせない理由の一つです。
    時代の流れです。
    働き方や生き方が変わっていくように子育てのやり方も昔のままでは通用しなくなっています。
    子育て世代に1番必要なのはお金ではないでしょうか。
    今はダブルインカムでも子育て世代は生活はカツカツですから。

      

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