出産した女性が「母」 卵子・精子提供で生まれた子の法的地位を定めるため、特例法案を国会提出へ
坂田奈央 (2020年10月16日付 東京新聞朝刊)
自民、公明、国民民主などの各党は、不妊治療で夫婦以外の第三者から卵子や精子の提供を受けて出産した場合の親と子の法的関係を定める民法特例法案を、26日召集の臨時国会に提出する方針を固めた。卵子提供者ではなく出産した女性を「母」とすることなどが柱。第三者の精子提供により生まれた子どもは国内で1万人以上とされるが、生殖補助医療を前提とした親子関係に関する法規定はなく、法整備の必要性が長年指摘されていた。
現行民法は生殖補助医療を前提とした親子の規定がない
法案では、第三者から卵子の提供を受けて出産した場合、卵子提供者ではなく出産した女性を「母」と規定。妻が夫の同意を得て、第三者の精子の提供を受けて出産した場合、同意した夫は、生まれた子の「父」であることを否認できないと定める。離婚時などに、夫が子との血縁関係がないことを理由に、親子関係を否定できないようにした。
現行民法では、生殖補助医療を前提とした親子関係の規定がなく、精子・卵子提供で生まれた子が法律上不安定な立場に置かれてきた。
野田聖子氏「不妊治療の技術革新で、想定外のことも」
2000年には旧厚生省の専門委員会が、こうした子の法的地位を確定する法整備などを条件に、第三者からの精子・卵子の提供による生殖補助医療を認める報告書をまとめた。法務省の法制審議会の部会での議論を経て、2016年には自民・公明両党で法案をまとめたが、国会提出には至らなかった。
今回の法案のとりまとめに当たった自民党の野田聖子幹事長代行は15日、東京新聞の取材に「日本の不妊治療の技術は高く、想定できなかったこともできるようになっている。技術革新はいいが、精子・卵子提供で生まれた子の法的地位が定まっていないことは問題で、法整備が必要だ」と話した。
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