保育士の育休復帰に高い壁 激務で自分の子育てと両立できない… やむなく退職、人手不足に
育休復帰 悩む保育士(上)
仕事量の多さや勤務時間の長さから、育休からの復帰をためらう保育士がいる。激務で責任が重すぎるとして、正規職員での復職を諦める人が多いほか、子どもを授かる前に辞める人もいて、保育士不足の一因になっている。国が進める少子化対策に欠かせない人材が、自身の子育てと仕事を両立しにくいという矛盾に苦しんでいる。
仕事の持ち帰り「みんなやっていた」
愛知県尾張地方の公立保育園で働いていた保育士の女性(31)は昨年、長女を出産し、育休を取得した。長女を別の自治体の保育所に預けて復帰する予定だが、迷い始めている。
女性はこれまで、1歳児や2歳児クラスの担任を務めた。子どもたちが走るようになったり、2語の文を話すようになったり。成長を間近で見ながらサポートできる喜びを感じてきた。
園児の興味、関心を育もうと、保育室の壁面に張る掲示物を持ち帰って作り、深夜まで保育計画を考えていたことも。絵本の読みやピアノ、歌の練習、行事の準備…。頑張るほど園児は喜び、やりがいもあって女性は自宅でも仕事を続けた。「保育の質を良くしようとすると限界がない。持ち帰りはだめと主任らに言われたが、みんなやっていた」
同園では育休後に復帰予定だった別の職員も辞めているという。他の職員の負担に配慮するせいか、短時間勤務で働いている職員もいない。女性は「せっかく子どもに関わる仕事。子育てと両立できるようにしてほしい」と願う。
退職理由は給料、仕事量、労働時間
東京都の2022年の保育士実態調査によると、保育士が退職したいと考える理由で最も多いのは「給料が安い」(61.6%)で、「仕事量が多い」「労働時間が長い」が続く。これらの理由のほか、2割弱が「子育て・家事」、1割超が「妊娠・出産」を挙げた。
退職した保育士が復職する場合の希望条件を、正規職員とした人はわずか19.4%。一方、パートや非常勤を望む人は42.5%で、復職の条件として73.8%の保育士が、1日の勤務時間を重視。30~40代の女性では1日に7~9時間より、5~7時間働きたい人が多かった。
玉川大の大豆生田啓友教授(保育学)は「子育て中の保育士が、フルタイムで働くのが難しいことが問題。パートタイムでの勤務を望む声も多く、保育士確保の難しさにつながっている」と指摘する。
自分の子どもに手を上げてしまいそう
愛知県内の別の保育園で働いていた元保育士の女性(38)は、子どもはいなかったが不妊治療中に仕事との両立は厳しいと判断。夫の転勤を理由に退職した。
当時、自分が休んだ時に担任しているクラスを誰が受け持つのかと考えると、休めなかったという。「子どもができたら仕事と家庭の両方をこなせず、子どもへの言葉が荒くなり、手も上げてしまいそうで…。そんな自分の姿が想像できた」と打ち明ける。
退職して妊娠し、子どもが保育園に通う今、「保育士ほど子育ての経験をダイレクトに生かせる職業はない。子育てしながら保育できる環境が整えば」と、退職を悔やむ気持ちも募る。
育休後も働き続ける人を増やすには?
愛知県内の別の保育士の女性(37)は、来年から復帰の予定。その時に少しでも余裕が出るように、育休中の今、自宅で保育室の壁に飾る掲示物を作っている。
女性は「こういう働き方をせざるを得ない面は改革されないといけないと思う」と疑問を持つものの、「私は育休を取る先輩の姿を見て、取りやすくなった。育休後も働き続ける人を増やすためにも、育休を取った仲間には、園に戻っておいでよと言いたい」。
※(下)は7月24日に公開します。
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育休復帰を前に悩みながらこのサイトを拝見しました。
「保育士はシフトを取るのが一番大変な仕事」。うちの園長が言っていました。
7時半から19時半まで、土曜日も早番遅番勤務、出勤時間もばらばら。
育休明けはですと子どもの保育料も0.1.2は高く、何の為に働いているのかわからなくなります。保育料が高い事は保育士に限った事ではないですが…。時短勤務にしたくても給料や評価に影響があるので簡単に決断できません。
安心して子どもを育てながら無理のない時間で働けたら心も身体も健康でいられるのになと思います。勤務中はずっと気を張って子ども達の見守りをしています。行事前は特に忙しく残業、持ち帰り、家庭に帰っても仕事の事が頭から離れません。
責任の重い仕事をしているのに待遇は大幅に改善されたとまだ言えません。もっと働く環境として他業種とは差別化をして整えていかなければ離職率は高いままだと思います。
子ども達の命を預かる仕事をしているのに社会的な地位はまだまだ低い。子育てしながら復帰するには厳しい職場。保育士として自己研鑽する時間も欲しいのに研修や勉強、自分を見つめ直す時間もなく、毎日園に行くのが精いっぱいでゆとりのない生活がまた始まるのか…と思うとうんざりです。
何で、保育園は何でもかんでも引き受けなければならないのか。小学校だったら授業後に放課後保育やナイトスクールがあるのに、保育園は早朝から延長まで全てをまかなっている。おかしいのでは?
保育園だって保育時間をもっと短くして、保育後は保育後託児室とか、ナイトナーサリースクールとでも名うって別の団体として預かればいいのに。
職員の事務仕事だって出席簿なんて事務職の人を雇ってやってもらったり、作り物だってそれ専門の人を雇ってもらったり作るものを減らしたり、掃除は園外の業者に頼んでしてもらえばいいんだし。
保育士の働き方改革が進んでほしいと思う。保育士だって職業の一つだし、働いている多くの人は、働く親だということを忘れないで欲しい。
息子の保育園では、育休明け復帰された先生はご自分のお子さんを園内に預けている方が多いです。
長男を預けはじめて5年たちましたが産休以外の先生の入れ替わりはとても少ないです。担任の先生がお子さんの体調不良でお休みで他の先生だったという話もよく聞きます。
先生の数は基準の倍程度いるみたいです。イベントも掲示物も他の園より非常に少ないと感じます。
息子は毎日思う存分走り回り、時々擦り傷を作り、時々イタズラして怒られて、とても楽しく園に通っています。親として不満は一切ありません。本当にありがたいです。先生方も他に預けている親と同じように自分の生活を大切にしつつ仕事を続けれるようにしてほしいです。
保育料無償化はありがたいですが、お給料に反映していただけるのであれば喜んで保育料を払いたいです。
現役保育士です。持ち帰り仕事は今の時代なくなってきていますが、保育園の開園時間が長くなり、子どものいない職員が時短や固定勤務の職員のカバーをするのがきつい。だから子どもが3歳超えたらパートを選択するしかなくなる。業務は、ほぼ一緒だが…
福祉は相変わらず尽くす精神で、福祉をしている人へのサポートは少ないですよね。
異次元の少子化対策も、大事ですが、国家資格者として、給与面だけでない保育士の地位向上をしていただきたい。
2歳の子どもを育児中の保育士です。東京ではありませんが、早生まれの為1歳児の時に預けて復帰しました。
3歳まで時短勤務で働ける環境ではありますが、やはり正職はシフト勤務の仕事です。復帰後1年間は土曜日はシフト勤務で早出、遅出もあり平日は9時から5時の勤務でした。
が、やはり子どもの発熱であったり主人も土曜日に働いて居ますので中々大変で今年度は土曜日なしの勤務でとお願いしたところ(園独自に園長が作成した時短勤務の就業規則には土曜日なしも可能)「は?無理です。」と言われました。でも選択肢の中に含まれている条件の勤務ですよね?とお伝えしたところ、「他の職員も内心は迷惑と思っている。この状況で土曜日なしの勤務は無理とわかりませんか?考えたらわかりますよね。あり得ない。」とのことで…
最終的には気に入らないなら辞めてもらっても結構です。時短勤務はシフトに戻る為のもので、シフトに戻れないならまず時短勤務、図々しいですとまで言われました。
何とか3歳まで時短勤務で勤務していますが今年度で退職予定です。同じ子どもを預かり保育する現場ですが、子育て世帯にはとても厳しい世界。パワハラなんてきっと常習。皆泣き寝入りしているんだろうなと感じさせられた日々です。
15年以上働いてきましたが国から余分な保育士を確保できる補助金など色々対策していただければ、子育てしながら保育の仕事を継続することが出来たり、結果保育士不足も解消出来るのではないかなと思ったりします。
育児だけではなく、多く余裕を持って保育士を各園に確保することで他の先生方の有休消化や土曜日勤務の回数、完全週休2日など若い方たちも働きやすい環境になるのでは?と感じています。
世の中では様々な職種で育児しながら、介護しながら働きやすい環境を整えようとしている風が吹いているように感じますが、肝心の保育施設ではまだまだ改善されていません。このままでしたらどんどん若い世代も離職せざるを得ないですよね…。目先ではない対策をして頂きたいなと心から思います。
10年前に保育士資格を国試でとり、2年前からパート保育士として保育園で働いてます。それ以前は事務職でした。
異業種、また母親の立場から、保育士さんには頭が上がらない部分が沢山あると同時に、保育園の業務には今の時代には変えていかないといけない業務が沢山あると感じています。(パートの立場では言えませんが。)
例えば毎回作り直す手の凝る壁面、手書きにこだわる書類作成…。今の時代のパパママたちは、手書きでなくても、理解があると思います!要は内容が大切かと。
配置基準や、お給与問題は国に何とかしてもらわないとかもですが、園の経営者や上部の方の意識改革も進めばいいのにな、と思っております。
幼稚園教諭として10年勤め、出産を機に退職しました。出産が1月で、育休が1年ぴったりしか取れない為、1月復帰は難しく続ける気持ちはありましたが退職を選びました。
保育士さんの実情ともまた少し違うかもしれませんが、この記事を読んで退職するか悩んだ時のことを思いだしました。
自分の代わりがいない、代わりをお願いするにしてもかなり心苦しい、有給が無い、早退が難しい、子育てしながら働くには厳しい状況に付け加え無理して働くほどの対価でもない現実。主人も退職を勧めてきました。
あの時は熱意ややりがいがまだ強くあり辞めたくはなかったのですが、4月生まれになるよう計画的に出産をした方がいいと考えさせるような環境はおかしいと今になって思います。
辞めてからもうすぐ10年‥あの頃と悩みも環境もたいして変わらないし改革の兆しも見えていないし、後輩も皆辞めていき、勤めた園は何も変わっていないようです。
パート保育士です。我が子がまだ小さい為と、パートで勤務をしていますが、正規職員が突然辞め、フリーの主任がいるにも関わらず、主任じゃダメだから…と、パートの私が出勤の時はほぼ副担任のような動きをしています。
給食後の片付け〜午睡準備・寝かし付けまで、異年齢保育の20人前後を、掃除もしながら見ています。
喉が痛く声が出なかった日、担任・無資格パート補助が休憩。1人で片付けをしている最中、子ども同士がふざけて、声が出なかったのですぐ止められず1人が頭を打ってしまいました。すぐ園長を呼び頭を打ったと伝えると…「1人じゃ見きれなかった?無理ならすぐ声かけて」と…。
え?毎回このクラスに入ると、担任の指示で1人でずっとやっていますが?それ園長先生も知ってますよね?今日声出ないのも知ってますよね?
パートは、言われた通りに動くだけです。先読み・危険予測ができなかったのは園長・正規職員のはずなのに、私が責められるような言い方されたのが意味不明でした。
だから経験のある子持ち保育士として、正規職員で復帰したくないのです。パートでも、正規職員ができない事・判断できない事まで考えて仕事をしなければならないなんて…。で、考えて行動すると、若い正規職員が嫌な顔や態度をしてきたり…。安い時給でやってられません!
保育士ですが、自分の生活を犠牲にしながら他の人の為に働く仕事が保育士…そのようにしか感じられない…。求められることが多いのに見返りが無い。
ずっと訴えるような声が多く出ているのに変わらない現状に先に自分が辞めたほうがいいと思うのも当たり前なのでは。
なかなか解決できる問題じゃないですね。職員の人間関係が悪いと尚の事、離職に繋がりますしね。
私の園では、パートが担任していたりするクラスもあります。正職員がいても、その人にクラスを任せられないという理由からだそうです。でも、パートの職員の時給は変わらず。何とも理不尽な扱いでみんな辞めたがっています。育休復帰に関することだけではなく、不適切保育等もあり問題だらけで、保育士として長く働いていけるような職場環境の改善が第一と思います。
現在、育休中の保育士です。この記事にあるように私も職場復帰に不安を抱えています。
昨年、第3子を出産しましたが、上2人は20代前半で出産しました。当時は臨時職員だったので、妊娠を機に退職し、育児に専念出来ていましたが、現在は正規職員で育休の期間も決まっているため、幼い子を別の保育園へ預けての復帰となります。
保育士は勤務時間がとにかく長いです。早朝の預かり保育や夕方の延長保育、土曜保育の当番もあります。定時はありますが、定時ピッタリまで受け持ちの子どもを見て、定時後から保育室や玩具の消毒、翌日の活動や製作物の準備、月によっては担当になる行事の準備に追われます。
現場の職員にはもちろん家庭に子どものいる職員もいるため、居残りの仕事をすることが当たり前となり、そこに疑問を持つことがありませんでした。なので製作物の持ち帰り仕事は当たり前となり、その完成度が職員への評価に繋がるのが現状です。保護者からの希望も年々増し、全ての希望になるべく添えるようにする事を求められます。
現在の保育士の配置基準ではまず手が足りません。もっと保育士の働きやすい環境を整えなければ、これからもっと保育士の離職が増えていくように感じます。現場で働く保育士でひとりひとりの声をどうか多くの人に聞いてもらいたいと感じています。
保育士してます。自分の子どもは、自分で育てたいという思いから子育て中はパートでした。家庭や子育てを優先したかったからです。
今は子どもも成人したので正職として、働いてます。はっきり言って自分の子育てと保育士の仕事の両立は厳しいとおもいます。いまから何かを変えても難しい。
1番いいのは、0.1.2歳は母親が自分の子どもを育てる事。0.1.2歳児は、保育士が1人で見るには厳しい人数がら割り当てられ、仕事量も多く責任も多く保育士離れがすすむ。せめて3歳から子どもを預けるようににすれば、保育士の負担もへり、保護者も仕事復帰がスムーズになる。
0.1,2歳児は母親と過ごすべき。お金では買えない大事な時間。もっと0.1.2歳児と母親との重要性を見直すべきだと思う。母乳を仕事復帰の為あげないとか、離乳食も保育園で食べるとか。人生で1番母親が必要な時期に母親と離す政策ばかりで心が痛いです。
「自宅で保育室の壁に飾る掲示物を作っている」という記述を見て、保育室に飾る掲示物はどのようなものなのだろう、と気になりました。子どもの育ちを考えた時に、必要なのか、別の方法でもいいのか…。
時間的に限りがある中で、保育士の専門性をいかに発揮していくのか、どこを大切にしたらいいのかを改めて考えていきたいなと思いました。働く人にも、その人の時間、人生があります。豊かな育ちを保障するとき、その人たちがどこに力を注ぐのか、考えたいです。