〈清水健さんの子育て日記〉2・幼稚園 息子と泣いて笑って

(2018年5月11日東京新聞朝刊)

清水健さんの子育て日記

幼稚園の入園準備の名前書き。登園靴の中の横、書きにくい

 「今日は幼稚園に行ってきたよ」。小さい声だったけど、僕の膝の上にちょこんと座って、ママの写真の前で。 

 当時、3カ月だった息子。どうなるんだろうって正直、思った。その息子が幼稚園。今でも毎日が必死。一人じゃできないこともいっぱいだし、これから、だって分かっているんだけど、感謝、寂しさ、いろんなことを思い出して。何か久しぶりに泣けたな。息子がその時間をつくってくれている。手をつないで立派に歩く姿は、最高のご褒美で、パパも家族も、みんなが泣いた。

我慢

 にしても、登園バスの前で「お家(うち)がいい」。その言葉と涙はどうしようもないほどつらくて。我慢。息子が? パパが? でもね、帰ってきた時の表情、バスの中からニコって。そして「疲れたよー」って。はい、抱っこします(笑)。甘やかしすぎかな。でも頑張ったから、本当に頑張っているから。子どもながら新しい環境で気も張りヘトヘトだろうにそれを隠そうとする。初めて知る息子の姿。分かってやれるパパでいたい。


〈前回はこちら〉1・亡き妻へ…見ててよね


 日に日に頼もしく見える息子の表情がパパを強くしてくれる。と言いながら、バスに送り出してからお迎えまでの時間は我慢の連続。大丈夫か。泣いてないか。楽しんでるかな。みんなそうなんだろうな。まさに子育ては親育て。息子のけなげな姿を見て、こりゃ、パパもって。

みんなに「ありがとう」

 ママ友もいっぱいできました。皆さまが優しいお言葉をたくさん。「何か困ったことがあったら」「初めはみんなそうですから」。その列に飛び込んでいくのは勇気がいったけど、皆さま温かいです。

 お迎えまでの時間はもちろん、送り出しまでの時間も時計が気になって仕方がない。何時に着替える? 息子のご機嫌は? 忘れ物は?

 初めての日なんてやっと着てくれた制服をバス停までに全部脱ぎ捨ててしまう。なかなかの根性のわが息子(笑)。誰に似たのか。

 お風呂で照れくさそうに話してくれる幼稚園での時間。「泣いちゃったの」「なんで?」「寂しかったから」。寂しいよね。ほんとにつらい。でも頼もしい! パパは本当にうれしいです。

 夜泣きも少し復活です。でも、息子の寝顔を見て、よくやっているって。いろんなことがあると思う。その景色を一緒に見ていこうな。パパ、名前書きも頑張りました! 見ていますか? 幼稚園です。みんなに「ありがとう」だね。 (元アナウンサー)

〈次回はこちら〉3・仲直りして、また、けんかして

清水健(しみず・けん) 

1976年、堺市生まれ。2001年、読売テレビ入社。13年5月に結婚し、14年に長男誕生。約4カ月後に妻を亡くす。17年1月に退社、現在は主に講演活動を中心に活躍。 著書に「112日間のママ」(小学館)、「笑顔のママと僕と息子の973日間」(同)がある。

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