“ビリギャル”が夢をかなえたのは「母の言葉」のおかげ 小林さやかさん、足立区の中学校で講演
鈴木賀津彦 (2019年6月26日付 東京新聞朝刊)
「ビリギャルは奇跡なんかじゃない」「母親が自己肯定感を大切にしてくれたから」。成績不振の生徒が偏差値を40上げて大学に合格し、本や映画で「ビリギャル」として有名になった小林さやかさん(31)が、東京都足立区立第一中学校で全校生徒を前に講演した。自らの体験を振り返り、「ワクワクする目標を『自分で』設定する」など、「6つの大切なこと」を説明した。
自分で考え、決められない子どもに危機感
「高校2年の夏に小学校4年レベル、偏差値30しかなかった」という小林さん。学習塾で指導した坪田信貴さんが、どうやって現役合格したかを書いた本「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」が累計120万部のベストセラーとなり、注目された。
大学卒業後、教育の現場に関わるようになった小林さんは、「自分で考えて、自分で決める」ことができない子どもが多い現実に危機感をいだき、メッセージを届けようと「キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語」(マガジンハウス刊)を今春出版した。初めて自分の言葉で体験を明かす著書だ。
偏差値よりも価値がある「自分で生きていく力」
足立区立第一中の体育館で話した小林さんは、「私の母が、小さなころからかけてくれた魔法みたいな言葉と思いが、私の『自分で生きていく力』を育ててくれた」と、母親の子育ての姿勢が支えになったと強調。「偏差値なんかよりもよっぽど価値があり、私が見る世界を広げてくれた」と自主性を受け入れてくれた母への感謝を語ったことに、生徒たちの共感が広がった。
講演後は、希望する生徒との座談会も。約20人が参加し、生徒からの「学ぶ意欲を高く持ち続ける方法を教えてほしい」との質問に、小林さんは「やる気を保てたのは坪田先生がいたから。能力を引き出してくれる周りの大人に協力してもらおう。コーチを探そう」と答えるなど、活発な意見交換が繰り広げられた。
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