「桃太郎は盗人。鬼は悪くない」 200冊読み比べた小6が本を出版 椎名誠さんも絶賛
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きっかけは「鬼だから殺してもいい?」
奈良輪小では毎年、「図書館を使った調べる学習コンクール」(図書館振興財団主催)に、児童たちが応募するよう支援。倉持さんは2017年度のコンクールで、妹のひまりさん(8つ)と高速道路の現状を調べ、姉妹で優秀賞・NHK賞を受賞。副賞として贈られた絵本「空からのぞいた桃太郎」(影山徹、岩崎書店)の帯に「鬼だから殺してもいい?」と書いてあることに驚きを覚えた。福沢諭吉が「(宝物を奪った)桃太郎は盗人だ」と批判していたことも知り、「鬼ケ島の鬼は悪者なのか」と疑問を持ち、調べてみた。
まず、2018年5月、地元の市立中央図書館で18冊の桃太郎本を読み比べた。桃太郎を盗人としていたのは2冊だった。これだけで結論を出すのはどうかと思い、別の小学校で教師を務める母親の優子さん(41)に相談。優子さんの友人の紹介で、桃太郎の蔵書が多い岐阜県図書館(岐阜市)を夏休みに訪問し、74冊を読み比べたが、ここでも「桃太郎盗人説」は少数派だった。
「調べる学習コンクール」文部科学大臣賞
その後も読み比べを続け、計200冊以上を読んで気がついたのは、桃太郎の話が時代によって異なること。特に、鬼については
(1)江戸~明治初期は、鬼から宝物を奪っている
(2)明治末ごろから、鬼がみずから宝を差し出すようになっている
(3)昭和になると優しい鬼が出てくる
―と、時代とともに非力になっていく様子を発見。鬼に落ち度はなく、「桃太郎盗人説」に共感を覚えた。同時に得体(えたい)の知れないものを「鬼」とすることで、日本人は昔から心の安定を図ってきたという結論にたどりついた。
これらの調査結果を、図や写真を交え、昨年度のコンクールに応募、小学生の部(高学年)で最高賞の文部科学大臣賞に輝いた。受賞コメントで、倉持さんは「怖いと思っていた鬼への疑問は、全部本の中にあった。本が好きになった」と語った。
「民俗学者が思いもよらなかった謎の解明」
出版に当たって、作家の椎名誠さんが「民俗学者を含む、多くの大人たちが思いもよらなかった『人と鬼』の巨大な謎の解明にちかづいた」と推薦している。
倉持さんは「今は鬼というと悪いイメージがあるが、昔の話だと宝物を奪いに行ったのは桃太郎。鬼自身は何も悪いことはしていない。そこを知ってほしい」と元気に語る。
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すごいです
>得体(えたい)の知れないものを「鬼」とすることで、日本人は昔から心の安定を図ってきたという結論…
驚きました。桃太郎悪人説は触れたことは何度もありましたが、ここに結論として提示された説にはあまりにも思い当たるものがあり、小学6年生とまだ人生経験の浅い倉持よつばさんの探究心や読解力、洞察力、そして相手を思いやる心に教えられ、胸を打たれました。
素晴らしい研究とその成果に心からの拍手を贈りたいと思いました。