公立小中の教職員、半数以上が過労死ライン超え コロナ対策の負担が深刻、児童生徒にも影響が
土門哲雄 (2020年8月22日付 東京新聞朝刊)
NPO法人「教育改革2020『共育の杜(もり)』」は21日、7月に行った教職員の勤務実態調査で、公立小の回答者の56.4%、公立中の64.3%が、学校に残ったり、家に仕事を持ち帰ったりして、過労死ラインとされる1カ月80時間以上の時間外労働をしていたと公表した。
公立小56%、中学64% 7月のNPO調査
藤川伸治理事長らが文部科学省で記者会見し、新型コロナウイルス感染防止と学習の遅れを取り戻すため、教職員の負担が増していると指摘。「疲労度は極めて深刻で、児童生徒にも影響が及ぶ」と長時間労働の改善などを訴えた。
調査は7月10~26日、共育の杜が運営するフェイスブックのグループ「心の職員室」のメンバーや、その協力者らにインターネットで実施。東京、埼玉、千葉、神奈川など7都府県を中心とした公立小中高校、特別支援学校の教職員ら約1200人が回答した。
調査結果では、回答した教頭・副校長(38人)の68.4%、主幹教諭(68人)の58.8%、教諭(955人)の56.8%が月80時間以上の時間外労働をしていた。教職員給与特別措置法(給特法)の改正などで残業時間の上限とされた月45時間を超えて学校内で時間外勤務していた教員は61.6%だった。
子どもの話を聞けない、叱ってしまう…
疲労やストレスなどで、「子どもの話をしっかり聞けなくなる」と感じている教員は全体の33.7%、「必要以上に子どもを叱ってしまう」と感じているのは23.7%だった。
会見に同席した横浜市立日枝小学校の住田昌治校長は「コロナ予防と酷暑で現場は過酷。教職員や子どもたちのため、生き生きと働ける環境にしてほしい」と強調。上智大の酒井朗教授(教育社会学)は「先生方が授業に特化できるようにしていく必要がある」と話した。(土門哲雄)
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