「オンライン授業で質が低下」日大の学生が学費返還を請願 大学側は応じず「いかなる理由があっても」
質問に回答なし 教材映像だけ
同学部2年の隆(たかし)弘道さん(20)は9月中旬、インターネットで同大生を対象に、コロナ禍で困っていることなどを問うアンケートを実施。経済的不安を抱える学生が多いことを知り、「誰かが行動しないと」と立ち上がった。
隆さんによると、授業が対面式からオンラインになってから、質問しても回答がなかったり、教材の映像を流すだけのことがあった。後期から対面式が一部で再開したが、まだオンラインが多いという。
「今は学びたくても教えてくれず、大学の授業ではない。お金の払い損で割に合わない」と憤る。図書館など学校施設の利用も制限され、学費に含まれる施設設備資金を支払うことにも疑問を感じた。
ツイッターなどで790人の署名
請願書は10月8日、ツイッターなどで集めた国際関係学部や県外にある他学部を含む計790人の署名とともに日大本部(東京)に提出。「授業の内容が料金に見合っているとは言えない。満額を支払うことは不合理」などと主張し本年度の授業料の一部返還(減額)を求めた。オンライン授業で発生する通信料の負担なども要望した。
これに対し、大学側は10月22日付で回答。既納の学費はいかなる理由があっても返還しない、という学則規定に基づき、応じない考えを示した。施設設備資金への意見には、施設の利用料ではなく、教育環境を整えるために必要なものとして理解を求めた。通信料は各自の負担とした。
大学はこれまで、オンライン授業実施に際し、通信環境を整えるため学部生らに一律3万円(総額約21億円)を支給。困窮学生には奨学金を給付するなどした。
「同じ思いの学生は問題提起を」
大学は取材に「学生と教職員の健康・安全を第一に、授業運営を滞りなく進め、学生の学修機会を確保する」と説明。「前学期に(独自の奨学金に)応募できなかった学生や家計が急変した学生などを対象に、再び募集を行うべく検討しています」と追加の支援策を講じる可能性に言及した。
隆さんは大学の回答に「もっと具体的に示してほしかった。がっかり。何も変わらなかったのはくやしい」と吐露。「同じ思いの学生がいれば、行動して問題提起をしてほしい」と呼び掛けている。
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