20年後の豊島区がこんな街だったらいいな 子どもが未来を考えた「としまでまなぶ夏の1日」 お仕事体験で記者にも挑戦

取材から戻り、「こども記者手帳」を開いて取材内容をまとめる「こども記者」たち=いずれも豊島区西池袋の自由学園明日館で

東京すくすくも出展しました

 親子向けの体験イベント「としまでまなぶ夏の1日」(東京新聞協力)が11日、豊島区西池袋の自由学園明日館(みょうにちかん)でありました。親子連れ約850人が訪れ、子どもたちが豊島区にゆかりのある官民の仕事に挑戦しました。東京新聞の子育て情報サイト「東京すくすく」も「こども記者体験」ブースを出展し、親子約300人が来場。小学生27人が記者と一緒に区や各企業の取り組みを取材した様子や、子どもたちが寄せた「20年後のとしまがこんな街だったらいいな」という意見を紹介します。

豊島区制90周年 小学生27人が取材

 イベントは、豊島区制90周年記念事業の一環で区と明日館が共催。目白署や池袋消防署のほか、サンシャインシティや日本気象協会、無印良品などが出展し、子どもたちは9つの体験ブースを巡ってお仕事体験をしたり、SDGsの取り組みを学んだりしました。

取材を終え、記者と一緒に取材した内容を確認する「こども記者」たち

 「こども記者体験」は、4回に分けて実施しました。取材前に「こども記者手帳」を使って取材で必ず聞くことや、記事にまとめる際に盛り込むとよいポイントを学んでから腕章を着けて出発。西武池袋本店、サンシャインシティ、豊島区、日本気象協会の各ブースを、それぞれ5~10人で取材しました。

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東京新聞・東京すくすくオリジナルの「こども記者手帳」

1. 西武池袋本店

 西武池袋本店のブースを訪ねた5人は、履かなくなった子ども靴を下取りし、ザンビアの子どもたちに贈る取り組みを取材。環境活動担当の黄木善治さんが、はだしでの生活がどんな健康上の問題を引き起こすかを説明し、「1カ月に約5000~6000足が集まります。10年以上の活動で、これまでに約110万足を届けました」と伝えると、5人から驚きの声が上がりました。

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西武池袋本店のブースで、子ども靴の下取りの取り組みについて取材する「こども記者」たち

 こども記者たちは「どうして飛行機じゃなくて船で送るんですか?」「靴以外の取り組みはありますか?」など、熱心に質問。同区の小学4年、阿江是清(これきよ)君は「ザンビアのような地域があることは知っていたけれど、詳しくは知りませんでした。いろいろなことが聞けて発見がありました」と手応えを感じていました。

2. サンシャインシティ

 サンシャインシティのブースでは、防災担当の柴田仁美さんから、ビル内で災害が起きてけが人が出てしまったときは毛布を使って人を搬送すること、ガラスなどが割れて危険な場所は、新聞紙のスリッパがあると危険を避けて通ることができることなどを教わりました。同区の小学1年のれいかさんは「毛布で人を運べるとは思いませんでした。家族がけがをしても、教わったやり方で運べそうです」と新しい知識を得た喜びを話してくれました。

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サンシャインシティのブースで、災害時に便利な「新聞スリッパ」の説明を真剣に聞く「こども記者」

3. 豊島区

 豊島区のブースでは、豊島清掃事業所の作業統括技能長・押本輝幸さんが、ごみ収集についてのこども記者からの質問を受けました。「ごみを回収するときに、車と一緒に人が走っているのは何のためですか?」という質問に、押本さんは「よく見てるね。いい質問だ。細い通りでは、車が来ないうちに少しでも早くごみを取るために走ってるんだよ」と着眼点をほめながら答えてくれました。

 集めたごみを圧縮しながら運ぶ「パッカー車」(ごみ収集車)が動く様子も見学しました。

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豊島清掃事業所のパッカー車を見学する「こども記者」たち

4. 日本気象協会

 日本気象協会のブースでは、最初に気象予報士の関田佳弘さんが「みんな、日本気象協会って、何をしているところか知ってますか?」と質問。首をかしげるこども記者たちに、天気予報や防災についてのアドバイスなど、4つの主な仕事を紹介しました。台風の最新情報が出るタイミングや、熱中症のケアについても説明があり、こども記者たちは一生懸命に記者手帳にメモを取っていました。

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日本気象協会のブースで、熱中症の応急処置についての説明をメモする「こども記者」

みんながなかよく、みどりがいっぱい…「20年後のとしま」にこんな意見が集まりました

 東京すくすくのブースでは、「20年後のとしまがこんな街だったらいいな」というテーマで、子どもたちから意見を募集しました。一部を紹介します。

子どもたちが色とりどりの紙に書いた願い「20年後のとしまがこんな街だったらいいな」

  • たすけ合いの町になってほしい(8歳)
  • にじがたくさんでるまちにすみたい(5歳)
  • プールつくってほしい(5歳)
  • でんしゃがふえてほしい(11歳)
  • こうさくがいっぱいできるまち(7歳)
  • コロナがなくなるといいな(9歳)
  • みんながなかよくなれるまちがいい(6歳)
  • みどりがいっぱいで、川やうみにゴミがない。ぜつめつきぐしゅも多くなる(7歳)
  • おはながたくさんのまち(3歳)
  • 動物となかよくできる町(8歳)

 子どもたちの願う街の姿が書かれた色とりどりの画用紙が並ぶ様子は壮観で、ブースを訪れた高野之夫区長も足を止めて1枚1枚を読んでいました。

「にじのまちになってほしいです」という6歳の子の願いを受け取る高野之夫豊島区長(右)

 2014年に豊島区は23区で唯一、民間シンクタンクに「消滅可能性都市」と指定されました。「消滅可能性都市」とは、少子化や人口流出が原因で将来存続できなくなるおそれがある自治体を指し、定義は「2010年から2040年にかけて20~39歳の女性が5割以下に減る市区町村」です。高野区長は「人口も増えていた当時は、それまで積み重ねてきたことがゼロになったようでショックだったが、大きく転換するチャンスだと捉えた。女性にやさしく、子育てしやすいまちを目指し、待機児童解消にも力を入れてきた」と振り返ります。

 8年がたち、池袋駅周辺では公園の整備やコミュニティーバスの「イケバス」の運行も定着しました。「『怖い、汚い』というイメージが強かったが、子育て世代にとっても魅力的な街に変わってきたと手応えを感じている。これからの10年は、さらに文化や経済が回る都市として発展させていきたい」と話しています。

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