いつもズボンの孫娘 中学制服のスカートを嫌がっています どうしたらいい?〈子育て相談 すくすくねっと〉
動きにくいスカート ズボンを選べる学校もあるが…
小学生の孫娘はいつもズボンをはいています。4月から通う中学の制服はブレザーで、女子はスカート。動きにくくなじみがないため嫌がっています。採寸は何とか終え、頑張ってスカートをはく気でいるようです。ズボンを選べる学校も増える中、どう声をかければいいでしょうか。(滋賀県・65歳)
ブレザー、ズボン 広がる選択肢
「みんなと同じでいるのは楽ですが、自分のスタイルを貫くのも生き方。お孫さんは今後どう歩んでいくかの岐路に立っている」。そう気遣ったのは、横浜市緑区の女性(67)。かつて中学で勤務し、20年ほど前には保護者からの要望で女子のズボン着用を許可したが、入学した本人が選んだのはスカート。「一人だけ目立ってしまうことが嫌だったのかも」。一方、近年勤めた学校ではズボンを選ぶ女子が各学年に数人はいた。「決断を応援することが大切。保護者が後押ししてあげて」と話す。
「当たり前のようにスカートだった中学の制服が本当に嫌だった」と振り返るのは金沢市の女性(49)。幼少期に太ももをやけどし、傷が見えないか常に気になったという。スカートの下にジャージーを着るなど気を配る日々。ただ「苦しい経験かもしれないけれど、将来さまざまな相手を理解する時に生かせるかもしれない」とも考えている。
生徒の意思でルールが変わったという投稿もあった。三重県玉城町の女性(49)は、娘が中学入学前に制服のスカートを「断固拒否」。学校に相談した結果、校長がメーカーと話し合い女子用ズボンが導入された。今は学年で5人ほどの女子が着ているという。
女子のスラックス採用校が急増
学校で女子のスラックス(ズボン)を採用する動きは急速に進む。学生服メーカー「菅公(かんこう)学生服」(岡山)の女子スラックスを新たに採り入れた学校は、2022年度に前年の倍以上の799校、2023年度は832校に=グラフ。同社企画推進部部長の吉川淳稔(あつとし)さん(50)は「自治体の教育委員会が声をかけて、学校ごとでなく市町村単位でモデルチェンジする例が増えた」と説明する。
愛知県犬山市では、詰め襟とセーラー服だった中学校の制服に、2021年度からブレザータイプが加わった。2019年に市議会で市民が意見を発表する場で、女子児童が「なぜ女子はスカートで男子はズボンなのか。性別に関係なく着られる制服があればみんなが安心する」と発言したのがきっかけ。市内全4校で導入し、以降はほとんどの新入生がブレザーを選ぶという。
最近は、夏場にポロシャツを着用できる学校も多く、高校ではパーカを選べる例も。吉川さんは「制服で自分らしさを表現できるように、という採用の仕方が多い。さらに新しいアイテムが導入されることも十分あるのでは」と話す。
全国の高校4割で採用 地域差も
マーケティング事業を手がけるCCCMKホールディングスが実施する「学校総選挙プロジェクト」で、都道府県立の全日制高校を対象に2021年6~9月に調査したところ、女子の制服でスラックスを選べる高校は、全国の3073校のうち44.4%だった。
1位の長野県は以前から、寒さ対策としてスラックスを選べる学校があったといわれる。全体的に都市部は高い傾向がある一方で、採用率は地域によって大きく異なり、下位の県では10%を下回った。
【編集チームから】質問は2023年2月25日に公開していたものです。2023年5月6日に回答を掲載しました。
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