学校給食めぐり新たな「多摩格差」 23区は完全無償化の波、多摩26市ではゼロ 同じ東京都なのに…
岡本太、宮本隆康 (2023年3月1日付 東京新聞朝刊)
東京23区で学校給食費の完全無償化が広がる一方で、多摩地域26市で新年度予算案に盛り込んだ自治体はゼロだった。無償化には億単位の恒久財源が必要となることから、財政力で劣る多摩地域の自治体にはハードルが高い。新たな「多摩格差」となっている。
6億円の財源確保「とても不可能」
「ざっくり6億円が必要。23区のようにはできない」。2月上旬、東村山市の渡部尚市長は新年度予算案の発表会見で、学校給食費の無償化について問われ、厳しい表情で答えた。
6億円は、東村山市の一般会計の約1%だ。公共施設再編など将来の大規模事業に向けて、市が事務事業の見直しなどで捻出した予算が約5.2億円(2022、2023年度分の合計)。給食費を無償化すれば、その全額が消し飛び翌年度以降も同額の予算が必要になり続ける。
さらに市では、エネルギー価格の高騰で、新年度の光熱費を前年比約3億円増と試算。財政に給食費無償化のための財源を確保する余裕はなく「とても不可能」(市幹部)が本音だ。
無償化は狛江市の「第3子」のみ
一方、23区では昨年9月、葛飾区が区立小中学校の給食費を完全無償化する方針を発表。同区のほか中央区、台東区、品川区、世田谷区、北区、荒川区、足立区が、新年度予算案に無償化のための費用を相次いで計上した(足立区は中学のみ)。
多摩地域では、狛江市が第3子の学校給食費を無償化すると発表したのみで、完全無償化を打ち出す自治体はない。首長からは「財政力が豊かな23区のようにはできない」などと否定的な発言が続いた。
子どもの医療費でも広がる格差
同様の格差は子ども医療費の無償化でも起きている。23区が一律で所得制限を撤廃する一方、多摩地域は財政力の違いなどによって判断がばらばら。現在も半数の13市が所得制限を維持する方針を示している。
ある市の幹部は「少子化対策のためにやるのか、子育て世帯の経済支援なのか、目的もはっきりしないまま、まるで自治体のアピール合戦になっている。不公平な格差にならないよう国や都の広域的な取り組みが必要だ」と注文した。
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子育てを家族だけでなく、国や地域も担う意識が必要だと思う。子供達が将来の日本を担ってくれるのだから❗️