ベネッセが英語スピーキングテスト撤退 英国の公的機関ブリティッシュ・カウンシルが新事業者に 入試活用には依然反対の声も

三宅千智 (2023年7月14日付 東京新聞朝刊)
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昨年11月27日、英語スピーキングテストを受ける受験生=東京都教育委員会提供

 英語の「話す力」を東京都立高入試に使うため、昨年から始まった英語スピーキングテストを巡り、都教育委員会は13日、出版大手「ベネッセコーポレーション」が本年度限りで運営から退くと発表した。新たな事業者には英国の公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」を選んだ。テストでは機器の不具合や音漏れのトラブルが発覚したほか、運営や採点方法など多くの問題が浮上。ベネッセは当初から運営に関わってきたが、本格導入からわずか2年で撤退する形となった。

他の応募なし 2028年度までの6年間

 東京都教委によると、ベネッセと結んだ協定の期間が2023年度末で終了するため、6月9日まで事業者を募ったところ、ブリティッシュ・カウンシルのみが応募したという。

 今年11月に実施予定で、来年の入試に使われる中学3年のテストはベネッセが担う。2023年度から新たに導入する中学1、2年のテストと、再来年の入試に使う中学3年のテストは、ブリティッシュ・カウンシルが運営する。期間は2028年度までの6年間。7月中に基本協定を締結する。

 テストの形式はベネッセと変わらないが、採点のやり方など詳細は今後、詰めていくという。

応募しなかったベネッセ「回答控える」

 ブリティッシュ・カウンシルは1934年に設立された英国の非営利組織。スピーキングを含む英語検定試験「IELTS(アイエルツ)」を運営するほか、東京外国語大と共同開発した英語スピーキングテストは東京外大の入試に活用されている。

 ブリティッシュ・カウンシルの担当者は「詳細は都教委と協議中」とした上で「生徒や保護者、学校関係者が安心してテストに臨むことができるよう対応していきたい」としている。

 19年度に都教委と協定を結びプレテストから携わってきたベネッセの担当者は、応募しなかったことに「回答を控える」とした。

トラブル続出「解決しない限り、入試に活用するべきではない」

 トラブルや問題点の指摘が相次いだ英語スピーキングテスト。事業者は代わることになったが、保護者や教育関係者は「採点方法などの課題が解決されない限り、入試に使うべきではない」と訴える。

音漏れ、別テストに類似…公正性に疑問

 民間運営のテストを公立高入試に活用するのは全国初の取り組みとして注目を集めたが、単発アルバイトによる試験監督や、ベネッセが実施している別の英語検定試験に類似していることなど、公正性・公平性が疑問視され、入試への活用に反対する声が上がっていた。

表 2022年度の英語スピーキングテストで指摘された問題点

 実施後の都議会議員連盟などの調査で、「他人の解答が聞こえた」など音漏れの指摘は166件。2月の出願締め切り直前には、機材の不具合で受験生8人の解答の一部が録音されず、低く採点されていたトラブルが発覚した。

「業者が代わっても、不透明さがある」

 テストは都立高入試の評価資料となり、総合得点1020点中、テストが20点を占めた。1点を争う入試で、トラブルは受験生の人生を左右することになる。

 市民団体「入試改革を考える会」代表の大内裕和・武蔵大教授(教育社会学)は「民間業者による運営では、コストの面などから入試としてのレベルを維持することが難しい。不受験者の取り扱いをどうするかなど、入試に使うには依然として課題がある」と指摘する。

 都内の公立中3年の保護者は「業者が代わったとしても、採点基準の不透明さやスケジュールの遅さなど、問題点がたくさんある。それらが根本的に解決しない限り、入試に活用するべきでない」と話した。

英語スピーキングテスト

 2022年は中学3年生のみを対象とし11月27日の本試験には約6万9000人が受験。音を遮断するイヤーマフとマイク付きイヤホンを使い、タブレットを見ながら15分間で8問に答える。録音された音声はフィリピンで採点された。都教委は2023年度から対象を中学1、2年生にも拡大し、本年度予算に35億円を計上した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年7月14日

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  • 東京委不要→都庁不要 says:

    女性の教育長は、知事に評価されてきただけに、今更スピーキングテストを撤退したら汚点になる。都庁組織の幹部が、そうした知事受けする、知事に顔色を伺う施策しかしなくなった。一応、ベネッセとの癒着関係(何の利権があったか不明)はこれで解消したようだ。

    肝入りのDXも元ソフト○○クの宮○氏を副知事に任命したが、あれから数年たち、何の進展もない。要は、都庁が肝入りでやっていることが全て失敗していること。

    それは、やる前から結果が目に見えているのも関わらず、約9割の管理職は理解できない。残りのできる管理職は、自身の出世のため、あえて否定的発言をしない。そんな風潮が、石原都政3期目初期頃から生じて来ております。

    スピーキングテストの最大の問題点は、何をしたいか不明確のため、不要だということ。そもそも、日本語自体正しくなくなってきている彼ら彼女らに、これまで話す機会のないスピーキングを課して、それを生かすべく高等学校はどこ高校なのか?又は特定の学校受験者で良いのでは?

    テスト自体を実施するのは、勝手にしろだが、合否判定の採点計上するかは、高等学校の判断にしてほしい。できれば、その予算35億円は、子どもの創造力・創生力向上に向けたギフテッド対策に充ててほしい。何をすべきかは、都庁が聞く耳と脳力があれば、私がご説明に伺いますが?

    元都庁職員(説明しても理解できない約9割の上司に嫌気がさし、早期退職した者)より

    ※あの都庁舎には、約2万人働いてますが、経営突破すれば、4千人程度でできる仕事内容です。私は、暇で暇でしかたありませんでした。やむを得ず、忙しい振りはしてました。忙しいというか、時間を要するのは、必要がない仕事をしているからです。

    でも、その仕事を削ると、それを行った管理職の責任になる。だから、誰も責任を取らないためだけに継続されているのです。つまり、忙しくするために、要らないこともする。

    約8兆円という予算規模をほとんど無駄に使うから、この国は変われない。首都が変われないからね。

    東京委不要→都庁不要 男性 50代
  • キガネムシ says:

    英語教諭の方々に伺うが、そもそもスピーキングテストは必要不可欠なものなのでしょうか?

    キガネムシ 男性 50代

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