自宅では気が散る、図書館はいつも混雑… 夏休みの中高生に自習スペースを開放 大田区立池上会館
中3女子が要望 断られると思ったら…
声を上げたのは、会館近くに住む竹之内和花(ともか)さん(15)。受験を控える中学3年だった昨年、集中して勉強できる場所の確保が課題だった。自宅では気が散るし、図書館の自習スペースはいつも混んでいた。カフェはお金がかかる。塾には通っていなかった。
「池上会館で勉強できたらいいよね」。昨年7月、母親とそんな話題になり、何げない気持ちで「会館の空き部屋を自習スペースとして開放して」と大田区にメールを送った。
館長の小杉聡史さん(46)は訴えを聞き、「中高生が勉強できるスペースが地域にないと気付かされた」。昨年8月は20日間、空き部屋を開放。竹之内さんは毎日のように通った。利用者は徐々に増え、冬休みにも開設。昨年度は延べ137人が訪れたという。
「最初は断られると思っていたから、意見を聞いてもらえてびっくりした」と竹之内さん。思いを伝えていなければ変わらなかったと思うと、「否定されることを恐れるより、まずは意見を言ってみることが大切だと実感できました」と声を弾ませる。
大人から「ドリンクごちそう」もできる
竹之内さんはこの経験を「地域を動かした私のアイデア」と題した作文にまとめ、昨年度の国税庁主催の作文コンクールで入選。今春には志望校の都立雪谷高校にも合格できた。
池上会館は今夏も午前の部(9~12時)と午後の部(1~5時)に分け、今月は26、27日を除き空き部屋を開放。先着14人程度が利用できるという。
訪れる大人向けに、新たな取り組みも始めた。館内のカフェ「トライメニータイムズクラブ」で「みらいチケット」を3枚つづり1000円(税込み)で購入すると、自習で訪れた中高生にドリンクをごちそうできる。提案した小杉さんは「こうした仕組みがあると子どもたちも、足を運びやすい。この場所が未来につながれば」と目を細めた。
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