不登校の子ども、通知表の評価どうなる? 「学校外の学びも反映できる」と法令には明記 当事者の願いは…

榎本哲也 (2024年11月1日付 東京新聞朝刊)
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フリースクールでのオンライン授業。スタッフのゆっきーさんがマイクで呼びかけると、約40人の生徒がチャットで次々に発言した=東京都品川区のSOZOWスクールで(一部画像処理)

 増え続ける不登校の児童生徒には、自宅やフリースクールでの学習を日課にしている子も多い。文部科学省は今年、こうした形で学ぶ児童生徒を支援するため、学校外の学習成果も通知表の成績評価に反映できると法令に明記した。当事者や保護者は期待を寄せる一方、多様な学びに挑戦する子もいるため「教科以外の学びにも目を向けて」との声もある。

小中不登校34万人 過去最多

 文部科学省は10月31日、2023年度に全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は11年連続で増加し、全体の3.7%に当たる34万6482人で最多を更新したとの調査結果を発表した。2022年度から4万7434人(15.9%)増えた。小中高などが認知したいじめは73万2568件で、長期欠席などが生じた「重大事態」は1306件で、初めて1000件を超えた。

斜線ばかりで「見てもうれしくない」

 「通知表、あまり見ません。どの教科も『/』(斜線)ばかりなので」

 三重県に住む小学校高学年女子児童の母親は言う。

 娘は3年生の2学期から登校しなくなった。東京のオンラインフリースクールに入り、自宅でパソコンを通じて教科学習や動画製作に取り組む。フリースクールが学習活動の報告書を作り、在籍する公立小学校に提出している。

 小学校から届く通知表では、フリースクールで学んだ日が出席日数となっている。だが、算数など教科の成績の3段階評価はどこにも『◯』がつかず、すべて『/』。母親は「見てもうれしくない」と話す。

 文科省は8月、学校教育法施行規則を改正。不登校児童生徒が学校外で学んだ成果も学校の通知表の評価に反映できると明記した。同省によると、授業に自宅からオンラインで参加したり、フリースクールで学校の課題に取り組んだりしている子の成績評価を実践している学校もあるという。母親はこうした流れを歓迎しつつ、「教科だけでなく、娘が取り組む動画製作のような活動にも目を向けてくれれば」と願う。

「高校受験が変わった方が良い」の声も

 「通知表の付け方より、高校受験が変わったほうが良いのかも」と話すのは神奈川県の公立中3年男子、むぎたろさん(15)だ。学校は嫌いではなく英語や数学が得意だが、宿題が多すぎて好きな音楽に取り組む時間がないことに悩み、中1の3学期から登校をやめた。今は午前はオンライン学習、午後はピアノや作曲など自ら立てた計画で一日の予定はぎっしりだ。

 むぎたろさんも通知表の評価欄は、全て『/』だ。自身は普通科への進学を考えておらず「問題ない」というが、「不登校でも勉強は好きで難関高を受験したい、という人もいる」。高校入試の判定に使われる内申書には成績評価が反映されるため、通知表が重要になる生徒もいる。

 「自分に合った学び方で頑張れる人は、自分で選んだ高校でなら学べると思う。通知表も受験も、そういう人にチャンスがあるべきだと思う」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年11月1日

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  • 教師のバント says:

    私は2022年3月まで高校教員であったので、ほぼ高校限定で議論を進める。

    文科省は、まず法定出席日数の緩和を検討して欲しい。高校の進学率は99%でその点では小中と同じだ。義務教育にしても支障はないだろう。

    現状、小中の生徒は少なくない人数が年間100日を超えるような欠席をしていても高校への入学試験の受験資格を有している。高校だけ出席日数を問題にするのは理不尽である。

    高校も卒業試験制度のようなものを設けて、一定の成績を修めれば卒業できるようにすれば良い。私は、実際には出席してないのに(授業代替の)課題をこなすことで卒業資格を得る生徒を随分見てきたが、それがダメなら退学だ。未だ気持ち悪さが拭えない。

    それなら、登校できなくても、相応の学力を身に付けている証拠があれば高校卒業資格を認めてくれても良いのではないか?

    記事にあるように、(遅ればせながら)そのための環境は整いつつある。あとは国がフリースクールをはじめとする組織に「卒業証書を出す権限」を認めるよう動いてくれれば良いだけだ。

    教師のバント
  • 教師のバント says:

    高校受験の改革に賛成だ。事実上の義務教育になっているから、特殊な才能を持ち合わせている生徒で無い限り高校に進学する必要がある。全日制に拘る必要は無い。スクーリングが短くて済む通信制様高校への転校が容易に済むような制度改革が求められる。

    残念なことだが、小中学校で不登校を経験した生徒は高校でも不登校を再発する場合が少なくない。あまり校外の方はご存じないだろうが、高校の卒業資格は成績よりも出席日数が重要である。この出席制限日数の数字を緩和し、不登校でも高校卒業資格が必要な生徒には、学力試験を新たに課すようにすれば良い。

    現在でも大学受験資格試験はあるが、そもそも高校は勉学の仕方を身に付けるところである。学力を身に付けるために自分に合った学校は異なる(学力習得以外のことを学校にあれこれ要求するからおかしくなるのだ)。入学後、合わないことに気付くこともある。転校を簡単にできるようにして欲しい。保護者の意識も大切だ。「卒業証書が貰えれば良い」くらいの感じで過度に子どもに要求してはならない。

    自分のクラスの生徒が学校を退学してしまう。辛いが、後でその生徒が別の高校を無事に卒業したことを聞くこともあった。それで良いのだ。色んな高校の在り方、進路を認めて欲しい。

    教師のバント

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