〈ペアレント・トレーニング〉8・子どもに自分から行動してほしい→「こっそり記録」でほめる機会を増やそう
悩み「自分から動いてくれない5歳の息子。忙しい時間帯はイライラしてしまう」
5歳の息子の朝の支度に手を焼いています。食事、着替え、歯磨きがスムーズに進まないので朝からイライラしてしまいます。
解決のヒント「2週間、子どもの行動を内緒で記録してみよう」
<臨床心理士・三間直子さんから>
忙しい時間帯に子どもがスムーズに動いてくれないと、つい「早くして」とせかしてしまいがちですね。イライラが減る方法を一緒に考えていきましょう。
今回は、子どもの行動記録表を作ってみましょう。子どもに自分から行動する習慣がつき、親のほめる機会も増やせます。3回に分けて取り組んでいきます。
1回目の今回は、お試しで記録表を作り、子どもに内緒で2週間記録を取ります。次回はそれをふまえた上で、記録表の手直しをします。3回目は実際に子どもと行動記録表に取り組みます。
①まずは、朝や就寝前など、子どもにスムーズに行動してほしい時間帯を選びましょう。その時間帯に子どもにしてほしい行動6つを、時間の流れに沿って挙げていきましょう。
②6つ選べたら、2週間「おためし記録表」をつけてみます。平日5日間、2週間分チェックできるような表を作りましょう。お子さんには内緒で、6つの行動を子どもがどれくらいできているかを記録します=イラスト。子どもが自分から行動できたら、ほめて〇印を書き込みます。声をかけたり一緒にやったりするとできた行動には、かっこ付きの〇印をつけます。できなくても×印や△印はつけず、空欄にしておきましょう。
ほめるために作る→記録表のほとんどが○になってもOK!
この「行動を表にして子どもにやらせる」という方法は、一般的にご家庭でも取り入れている方がいるかもしれませんね。ただ、多くの家庭では、「できないことをやらせたい」という、親の「してほしい」を優先した内容で作るため、うまくいかないこともあります。
「やっているんだけど、うまくいかない」という方に意識してほしいのは、「子どもをほめるために記録表を作る」ということです。チェック欄のほとんどが○になってもOKです。子どもは、ほめられるとスムーズに動けます。「ほめられる」→「その行動が増え、他のことでも協力したくなる(=スムーズに流れる)」という循環をつくりましょう。「ちょっと難しいこと」でも、その前の行動ができてほめられることで取り組みやすくなる、という好循環を生み出すのが狙いなのです。(※「ほめるこつ」を紹介した回はこちらです)
次回は、お子さんがどれくらい行動できているかをチェックした表を基に、記録表の項目(行動の内容)を修正していきます。最初と最後の項目は、簡単にできることにしておくとスムーズに表が運用できるので、その調整のしかたを紹介します。今回、余裕があれば「できなかった行動は、どういう支援があればできそうか」も観察しておくと、項目を修正する時に役立ちます。
「子どもの行動記録表」のPDFファイルを、こちらからダウンロードできます。
担当記者がやってみると…
朝の登園前の忙しい時間を選び、「自分で食卓につく/7時半までに朝ごはんを終える/歯を磨く/着替える/寝間着を洗濯かごに入れる/靴を履く」という6つの行動を書き出しました。2週間、子どもには見つからないように記録してみると、声をかけないと自分からはできない行動も多かったです。
表に〇をつけることで、自分からできている行動は、これまではほめていなかったことに気付きました。「もう着替えたんだね、早い!」「パジャマ、かごに入れといてくれて助かる~」と小まめに声をかけました。ほめられるとやはりうれしいようで、まだ最終的な解決には至りませんが、慌ただしい朝の雰囲気がぐっとよくなりました。
※「笑顔が増える ペアレント・トレーニング」は毎月第1金曜に掲載します。次回の掲載は6月7日です。
なるほど!
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