〈ペアレント・トレーニング〉10・子どもをやる気にさせるには?→5つのルールを伝えて「ごほうび」を決めよう

笑顔が増える ペアレント・トレーニング

 「ペアレント・トレーニング」の第10回は、「子どもが自分から動けるようになる」ための練習の最終回です。前々回前回と、子どもと一緒に取り組むための「行動記録表」を作り、完成させました。今回は、いよいよ本番。子どもと一緒に「記録表」にチャレンジします。でも、ちょっと待ってください。取り組む上で大事なことがあるようです。臨床心理士の三間直子さんに、ポイントを教えてもらいました。(過去の記事一覧はこちら

悩み「朝の支度をスムーズにするための『行動記録表』。子どもをやる気にさせる自信がありません」

 朝の時間に5歳の息子にやってほしいことを行動記録表にしました。でも、子どもがやる気になってくれるか自信がありません。興味を持って取り組ませるためのコツを教えてください。

解決のヒント「事前の説明を丁寧に。そして、行動できたらその都度ほめましょう」

<臨床心理士・三間直子さんから>

 「子どもが自分から行動できるようになる」ことを目指し、「行動記録表」を作ってきました。前回は、朝晩の忙しい時間帯に子どもにしてほしい一連の行動を選び、できたかどうかを親が記録し、表を完成させました。今回は、いよいよ子どもと一緒に記録表を付けていきましょう。

 記録表を使う目的をあらためて確認しておきましょう。子どもが親に言われなくてもするべき行動を思い出しやすくし、親も子どもの好ましい行動をほめやすくするためです。子どもが次にすることを忘れているようであれば、これまで学んだ指示のやり方(CCQ)で声かけすることも考えましょう。

イラスト

 表は、歯磨きや着替えなど行動に関連する絵を入れたり、カラフルにしたりして楽しい雰囲気にしましょう。始める前に子どもと一緒に表を見ながら、取り組み方を説明することもスムーズに進めるポイントです=イラスト

イラスト

 表は目にしやすい場所にはって、特典やごほうびも決めましょう。「週末に○○公園に行く」など子どもが喜ぶことや、「好きなお菓子を買う」のように、高価でなくて親も与えてもいいと思えるものがおすすめです。

 大事なのは、子どもが行動できた時にすぐにほめること。できなくても×印や△印はつけず、できた行動に注目します。一日の終わりに子どもと丸印を数え、できた行動をほめましょう。他の家族にも知らせ、皆でほめてあげるのもよいでしょう。

 低年齢の子は親にほめられることで、より行動が身に付きます。小学校高学年になり、親にガミガミ言われたくない年齢になった子も、自ら動く気持ちよさに気付きます。2週間、3週間、と続けるうちに、子どもに一連の行動が習慣づいていきます。

表

「行動記録表」のPDFファイルを、こちらからダウンロードできます。

担当記者がやってみると

 食卓の近くに表をはり、4週間やってみました。「○が20個たまったら、週末に好きなお菓子を買ってあげる」と約束。お菓子ほしさに張り切って始めた5歳の息子。シールをはるたびに表を見るので、「次は○○だ」と思い出しやすかったようです。こちらも忘れずにほめることができ、イライラも減りました。

イラスト

 実は、この5歳の次男と行動記録表にチャレンジするのは2回目でした。この半年ほど前に、当時小学2年生だった長男と挑戦。長男との取り組みはスムーズに進んだのですが、「僕もシールはりたい!」と途中から一緒に取り組んだ当時4歳の次男とは、一度挫折していたのです。

 半年前、いちいち声かけをしないと朝の支度ができなかった長男は、「ステップ1:お試しでこっそり2週間記録」→「ステップ2:修正して2週間こっそり記録」→「ステップ3:長男と一緒に行動記録表にチャレンジ」…というフルコースで臨んだところ、4週間ほどで朝の行動の流れが身に付きました。(正直なところ、小学3年生になった今でも支度が滞る日はあります。そんな朝でも「次、なにするんだっけ~?」と一声かけるだけで、スッと動けるようになりました)

 ところが、次男は「ステップ1:おためし2週間」「ステップ2:修正2週間」をすっ飛ばして、いきなり「ステップ3:行動記録表にチャレンジ」の流れになってしまいました。次男にとって「何ができて、何が難しいのか」という現状把握を私が怠ったせいで、記録表が彼にぴったりのものになっていなかったようです。シールもあまりはることができず、1週間もしないうちに興味を失うという展開に…。

 ペアレント・トレーニングでは、ステップをきちんと踏むことが大事だそうです。連載の初期にお伝えした「ほめること」ができるようになったら、「気付かないふりで待つ」の段階へ。そして「適切に指示を出す」ステップを経て、すべての要素が必要な「行動記録表」へ。まどろっこしいようですが、ひとつずつ重ねていくことが結局は近道なのだと、あらためて感じています。

「ペアレント・トレーニング」は発達障害児の親向けに採り入れられることが多い手法で、子育てのさまざまな場面で有効です。「お母さん、いつも怒ってるよね」と言われてしまった5歳、小学3年、5年の3児を子育て中の記者が、実際にペアレント・トレーニング講座を受講。実施経験が豊富な、心身障害児総合医療療育センター(東京都板橋区)の小児科医・長瀬美香さん(50)と臨床心理士・三間直子さん(47)に、声掛けや振る舞い方のヒントをいただきながら進みます。

※「笑顔が増える ペアレント・トレーニング」は毎月第1金曜に掲載します。次回の掲載は8月2日です。

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  • みんこ says:

    例はぶすっとして黙り込むタイプの子のようですが、なんて楽なんでしょう!『ナス嫌い〜』といつまでも、20分も30分も言い続けて、ご飯終了期限到来→ご飯おしまい→しめた!
    となる、ナス嫌いで我儘を通しても全然本人の痛手にならない少食の子にはどうしたら良いのでしょうか。
    主人は、ご飯を途中でやめさせ食べさせないのは親の怠慢・虐待だと言います。
    結局は私に責任がふりかかります。

    スーパーでも、我が子は売り場を離れても『あれ買って欲しかったなぁ』と言い続けて気持ちが切り替えられないタイプなのですが、その状態で褒めても、何も言葉が頭に入っていってない感じがします。『手に入らなかったことには変わりない』という感じです。

    例の家庭が単純すぎます。

    みんこ 女性 40代

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