〈高野優 思春期コロシアム〉少しでも地域の力になりたくて
(2019年6月7日付 東京新聞朝刊)
川崎市で5月28日、スクールバスを待っていた私立小学校の児童らが殺傷される事件がありました。予期せぬ事件で子どもたちが犠牲になったことは、社会に深い傷を残しました。東京新聞生活面で「思春期コロシアム」を連載中の高野優さんにとって、事件の現場は、幼かった子どもたちと暮らした思い出の地域です。地域への思いと、犠牲になった女の子への祈りを込めた漫画とエッセイです。
思い出の公園に たむけの花を
ふたまたに分かれた道の中にある二等辺三角形の公園を、地元の親子は親しみをこめて三角公園と呼んでいた。春は桜が咲き誇り、夏はやぐらが建つ。提灯(ちょうちん)の灯(あか)りに照らされて踊る大勢の子どもたちの笑顔を眺めながら、穏やかな地域で子育てをしている日々に感謝をしたほど。
4年ほど住み、長女が小学生になるのを機に引っ越したため、それ以来、その公園に行くことはなかった。
「三角公園?」と口にだしたのは、実に17年ぶり。テレビに映るのは、よく知る川崎市の風景。足繁く通った公園のすぐ前で、悲しくてむごい殺傷事件がおきてしまった。
花をたむけに行こう。それしかできないけれど、優しい色の花を買おう。
※最新刊「思春期コロシアム」(東京新聞刊)発売中
たかの・ゆう
漫画家。3姉妹の母。長女と次女は社会人。三女はサッカー漬けの高校生。オフィシャルブログ「釣りとJazzと着物があれば。」も更新中。
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