ママ友との付き合い、悩んだらどうすれば? 精神科医からのアドバイス
パーティーの準備、他の母親の悪口…
岐阜市の女性(42)は、ママ友付き合いに苦労した一人。長女(13)が小学3~4年生の時だ。長女には仲のいい友達が7人いて、母親同士もLINE(ライン)でグループをつくり、連絡を取り合っていた。ハロウィーンパーティーやクリスマス会、お泊まり会を、それぞれの家で順に開いていたため「料理などの準備が大変だった」と振り返る。
何より苦痛だったのは、自分たちのグループに入っていない母親の悪口を聞かされることだ。「貧乏くさい服を着ている」「あそこの夫婦は仲が悪い」…。自分や子どものことも陰で何か言われているのではないかと、疑心暗鬼になった。それでも「子ども同士の仲がいいから、仕方なく付き合っていた」。
家庭環境や価値観が違うから、難しい
「精神科を受診する患者さんにも、ママ友付き合いで苦しんでいる人はとても多い。悩みを軽く見てはいけない」。そう話すのは、愛知医科大の精神科医・藤野智哉さん(30)だ。
一口に「ママ」と言っても、年齢や収入、働いているか専業主婦かなど家庭環境や価値観はそれぞれ異なる。にもかかわらず「子どものために」と思うと付き合わざるを得ないのが、ママ友の難しさという。例えば、金銭的に余裕がない中でランチに誘われた場合。本当は嫌なのに、子どもが取り残されることがないよう、行くしかなかった―といった経験をした人は少なくないだろう。
「10年後は?」自分を客観的に見る
交流サイト(SNS)で、他のママ友たちが一緒に出掛けたり、集まったりしたという投稿を見て落ち込む場合もある。加えて、コロナ禍だ。「行動が制限され、大人同士の付き合いが近くのママ友だけという人も多い」と藤野さん。「自分を取り巻く世界が狭まる中、ストレスがたまるのは当然」
ママ友との関係に悩んだ場合、藤野さんが勧めるのは「自分を客観的に見る」ことだ。例えば、10年後から見た「今」を意識してみる。ママ友付き合いが密なのは、子どもが小さいうちだけ。次第に、子ども同士で遊んだり、出掛けたりする機会が増える。長く続く関係ではないと理解できれば、無理をする必要はないことが分かる。その上で、誘われて応じるのは2回に1回、または3回に1回だけ―など、負担にならない付き合い方を探ればいい。
会話のストックを 夫の共感も大事
ママ友づくりが苦手な人もいるだろう。記者自身、娘が幼稚園に通っていたころは、お迎えの時間がつらかった。何を話せばいいか分からず、母親たちの輪の中に入れなかった。
コミュニケーションのこつは、相手が共感してくれそうな話を自分からしてみることという。子育ての大変さや困っていること、テレビで紹介されていた情報でもいい。そうした材料を「ストック」としてためておくと会話が続きやすい。
藤野さんは「妻がママ友関係で悩んでいる場合、夫は真剣に話を聞き、共感してほしい」と呼び掛ける。駄目なのは「嫌なら付き合わなければいい」などと突き放すことだ。それができないから、本人は悩んでいる。「解決策を示そうとするのではなく、どうすれば妻の気持ちが楽になるか。一緒に考える姿勢が大事」
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