1歳児の保育士の配置基準は改善につながるか 医療的ケア児らの支援にも重点 こども家庭庁2025年度予算案
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1歳児の職員配置の改善(109億円)
4~5歳児に関しては、2024年度に保育士1人がみる人数が30人から25人に改善された。これに対し、1歳児は半世紀以上見直されてこなかった。現状の配置基準6:1から5:1以上に改善した場合、保育士の人件費相当分を加算する。保育の質を確保するため、加算には以下の3つの条件を満たす施設を対象とする。
- 処遇改善などの加算を全て取得している。
- 業務でICTの活用を進めている。(①登降園管理②計画・記録③保護者連絡④キャッシュレス決済のうち①ともう1機能以上の機器を活用している)
- 施設・事業所の職員の平均経験年数が10年以上
最低基準を5:1に改めるのではなく加算措置にした理由についてこども家庭庁は、「保育士の確保のハードルが高く、保育の質を確保するため」と説明しています。今回の加算を取得する園が増え、ゆくゆくは最低基準の改善につなげることを目指すといいます。
保育士の処遇改善(1607億円)
2024年の人事院勧告に基づき、2024年度補正予算から引き続き、10.7%の改善を行う。保育士に確実に行き渡るよう、事業者に施設ごとの経営情報を都道府県知事へ報告することを求め、それを踏まえた分析結果を都道府県知事が公表するよう法定化する。2025年4月に施行し、2024年4月からの事業年度を報告対象とする。
報告期限は、事業年度終了後、5カ月以内。自治体は「ここdeサーチ」上で公表する。報告する内容は、人員配置、職員給与、収支の状況。
医療的ケア児・障害児支援(5204億円)
これまで補正予算で行ってきた事業を初めて当初予算に盛り込んだ。医療的ケア児に対応できる児童発達支援事業所や公立病院などの公共施設、自宅に職員を派遣する訪問看護事業所などに必要な備品の費用を助成する。一時的に預かり、医療的ケアや見守りなどを行う事業者が増えることを期待する。
発達に特性のある子どもと家族の支援では、乳幼児健診などに専門員を派遣し、早期の発見・支援につなぐ。スーパーや公共交通機関、習い事など地域の子どもと関わる可能性のある場所と児童発達支援センターが連携し、専門家が巡回する形で適切な子どもへの対応について理解を広げる。
このほか、多子世帯の大学授業料の無償化の所得制限を撤廃。低所得世帯やひとり親家庭の子どもの大学・短大・専門学校などの受験料を支援(最大5万3000円)。模擬試験受験料や学習支援員を児童館やこども食堂などの学習支援の場に配置する支援も行う。
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