公園封鎖、遊具禁止にモヤモヤ コロナ対策…でも子どもの”遊ぶ権利”は守らなくていいの? すくすく編集チーム座談会

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 大型連休を前に、新型コロナウイルス感染拡大防止をいっそう強化するとして、公園の遊具を使用禁止にしたり、公園や広場に入れなくしたりする動きが広がっています。不特定多数の子が触れる遊具は、ウイルスの接触感染につながる恐れがあり気を付けなくてはなりません。でも、十分な説明もないままに、子どもが体を動かしたり、遊んだりする権利が奪われていくのを簡単に「仕方ない」と言ってしまっていいのだろうか。東京すくすく編集チームのメンバーからこんな声があがり、オンラインで議論してみました。
A:小学1年と保育園児の母(40代)
B:小学4年と中学生の母(40代)
C:小学2年と保育園児の母(30代)
D:小学生2人と保育園児の母(40代)
E:高校生と大学生の母(40代)
F:小学5年と保育園児の母(40代)
G:小学1年の父(40代)
H:小学6年と保育園児の母(30代)
I:小学2年と保育園児2人の母(30代)

「なんで遊べないの?」にどう答えたら…

A 近所の都立駒沢公園に週末に娘たちをつれていったら、遊具エリアには入れなくなっていて、ブランコなども取り外されていました。子どもたち向けにも「ごめんね。おやすみちゅうです。」と張り紙がしてありましたが、ついに…となんともいえない切ない気持ちになりました。子どもが泣きそうな顔で「なんで遊べないの?」と聞いてくるたびに「遊具に触ると病気がうつるからだよ」と言えばいいのか、どう返答すればいいのか悩みます。

B 私の暮らすエリアで唯一といっていい体をのびのび動かせる広場も、知らずに訪れたら、利用禁止と張り紙されて、中に入ることもできなくなっていました。この広場は遊具はない、だだっ広い場所なのですが。

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一律禁止は「大人が安心するため」では?

C このやり方でいいのか、モヤモヤした思いがあります。大人が安心するためにやっていることにしか思えなくて。親と折り合いが悪かったり、虐待を受けていたりといった家庭にいられない子どもたちはどこに行くのだろうとも思ってしまう。それに、大型の公園を閉鎖することで、逆に住宅街にあるような小さな公園に子どもたちが集まっちゃって、かえって危険なのでは…という気もします。

D 一律に禁止、とするのではなく、利用する子どもや保護者をもう少し信頼してほしい。そのために新しいルールが必要なら作ればいい。こういうときこそ、町内会とかPTAとかいつも「子どものため」と言っている人たちから、輪番で消毒したり見守りしたりしよう、という声が上がっても良さそうなのに。

B 学年ごとに入れ替え制にするとか、できる方法を考えた形跡がなく、いきなり門が閉められている、というのは思考停止な気はします。

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そもそも「子どもの遊び」に社会が冷たい

E 知り合いのマンションでは、管理組合が「子どもさんが室内やバルコニーで走り回ったり、ボールをつくような騒音に困っているとの相談がありました。在宅勤務の会社もあり、騒音が気になる場合もあるので、お子さんの指導をお願いします」という内容の張り紙を出したそうです。子どもが自宅近くで縄跳びをしていたら、通りすがりに「家の中にいなきゃダメよ」といきなり言われたという話も聞きました。子どもが遊ぶことへの視線が冷たいと感じます。

C そうなんですよね。私もママ友たちとそういう話題になりました。子どもが公園で遊んでいると110番する人までいるとか。子どもにとって、特に幼児は遊ぶのが仕事。どうすれば感染を防ぎながら遊ばせてあげられるのかを考えるのが大人の仕事なのに。遊んでて「けしからん」と言うなら、働いている大人も「けしからん」ということだよね、と。

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F 虐待などで家にいられない子への対応ができていないのはすごく問題だと思うけれど、ゴールデンウィークは都市部は遊具禁止にしないと、子どもが1カ所に集まっちゃうからやっぱりまずいかな、と思います。小さい子は他の子が来たらよけて次の場所で遊ぶっていうのはなかなかできないですよね。見守りもこの状況下でスタートする、というのも難しそう。

C 確かに、子どもたちがわーっと集まっているのを見て、怖くなるのは分からなくはないですよね。何かいい妥協策があればいいのだけれど…。

Zoomでなんとかつなぐ、友達とのかかわり

G 子どもにとって公園などでの遊びが大切なのは、体力や健康面だけじゃなくて、友達と一緒に過ごす、ということもあるんですよね。公園に行きにくい状態ですが、小1の息子は週末、卒園したばかりの友達4人とZoomをつないで、パソコンの前でスマホの「ポケモンGO」で遊んでましたよ。「バトルしよう!」「いいよ!」と大声を出して、楽しそうでした。そういう様子を見ていると、子どもから奪われている大きなものの一つは「友達との関わり」だよな、と。そこをどうするか、というメッセージが学校からも行政からも伝わってきません。

H 小学校6年生の息子の学校はZoomでクラスメートが勉強する姿をお互いに見ながら勉強する時間を設けています。静かに勉強する時間で、息子は10分で脱落していましたが…。このほか、週に1回、クラスごとに担任と子どもたちがZoomで話す時間があって、この時は友達の顔を見ながら近況を語りあっています。

A Zoomはみんな使っているんですね。小1の娘は友達とZoomをつないだままにして、おままごとしていました。最初は「どうやって遊ぶの?」と思ったけれど、1時間たっても飽きずに続けていて。しまいには、「ねんねの時間だから」とパジャマに着替えて寝室にこもって、友達と一緒にゲームをしながら寝るという遊びに(笑)。親のスマホを持たせっぱなしですが、こんなに楽しく遊べて親も楽なら、またやってもいいかな、と。

B 小学生の息子の少年野球チームでもZoomを使ったミーティングが数日前から始まって。久しぶりにチームメートの顔が映っているのを見るだけで息子はとってもうれしそうでした。親子だけで煮詰まりがちなところ、コーチから自主練習のアドバイスをもらったりするのも、子どもにとっては刺激になるようです。そういう家族以外の人とのつながりが、子どもだって恋しいですよね。

A 友達との関わりをオンラインで補えるというのはありがたいかも。イマドキですね。

横浜市の学校は「緊急受け入れ」先生も工夫

B 休校中の学校は4月に登校日が1日あったのと、先生から「元気ですか」という電話が一度あったけれど、親と話すだけで終わりでした。クラス替えで新しくなった先生との人間関係も築けないままです。

I 横浜市は留守番が難しい4年生までの子どもたちが学校で過ごせるようにする「緊急受け入れ」をしたり、校庭を開放したりしています。緊急受け入れを利用している家庭は少ないですが、2年生の娘は仲良しのお友達が来ているので喜んで行っています。あくまで臨時の受け入れなので勉強を教えたりはできないということで、先生たちがギターを弾いてくれたり、いつもとは違うことをしてくれているようです。楽しく過ごせるように考えてくれているんだなと感じます。先生も「子どもたちと関わることで気が晴れる」と話していました。

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マスクをして離れた席に座り、自習する子どもたち=横浜市金沢区で

不安になるのは、見通しが示されないから

F 親も子も不安になるのは、休校、外出自粛、公園も気を付けて、とは言うけれど、今が感染拡大を防ぐためのどういう段階にあるのか、最短でもこのくらいまでは今の状況を続ける必要がある、こういう状態になれば、徐々に解除できる、という見通しを政府が全然示さないからですよね。

B もっと子どもに直接説明する、分かってもらおうとする、という姿勢も必要だと思います。デンマークのフレデリクセン首相は、休校を要請した後、当事者である子どもたち自身に直接語りかけるオンラインの会見を開いていました。「外で遊んでも大丈夫?」といった個別の質問にやさしい言葉で一つ一つ答えているのが、とてもいいなと思いました。

C 日本では子どもの権利が本当に軽視されているな、と感じる。こういうときだからこそ、子どもが遊んだり、学んだりする権利があっけなく奪われてしまうことに、大人の側がもう少し敏感になる必要があるのではないでしょうか。

◇子どもの居場所が奪われていいのか。子ども同士のつながりをどうやって保ったらいいのか。座談会の内容を識者の方に伝え、アドバイスをもらいました。

公園封鎖…子どもは外で遊んじゃダメ? 友達とつながるには? 識者からのアドバイス

◇子どもにとって「遊び」とは、今を生きることを肯定し「明日も生きたい」と希望を持つこと。遊ぶ機会が奪われがちな今、その意味をあらためて考えてみませんか。

今こそ本気で子どもと遊ぼう 楽しさの共有が生きる希望になる 富山「子ども遊ばせ隊」代表の提言

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  • 匿名 says:

    都内在住、6歳、4歳の子がいる母です。
    家庭によって考え方や価値観が違うのは当たり前なんだって、自粛期間中よく思いました。子どもを1番に思っての行動というのは同じだし、早く事態が終息して欲しいという願いも同じ。敵対するんじゃなくて、「うちはこう考えてるけど、あなたはそうなんだね。」と自分もOK、相手もOKでいきたいなと思いました。どんな立場の人も、みんなできる範囲で最大限、頑張ってると思うから。

    我が家は遊具のある公園はなるべく避け、人通りの少ない道をひたすら散歩させていました。
    私はこの記事を読んだ時、少しホッとしました。公園で遊ぶ事が非難された自粛期間中、こんな風に子どもの遊ぶ権利を大事にする考え方があるんだ、と目から鱗が落ちるというか。
    良かった、自分もそんな風に考えていいんだと許されたような気持ちです。

      
  • 匿名 says:

    幼稚園児と乳児がいます。
    この記事を読んで、子供が人の生死がかかるような一大事になんて気楽な意見なのかと、私は感じてしまいました。
    日本は比較的に被害が少なく、気楽に考えてる方が多いと思います。公園公園と言うけれど他の遊びにはチャレンジしていらっしゃるのかな?と少し疑問です。勝手な意見ですが、声をあげる方ほど何も対策されてないような気がします。幼児でも小学校でも工夫すれば家の中でも汗だくになるくらい遊ぶことができます。確かに親は大変になるとは思います。
    ですが、百分の1でも千分の1でも子供や祖父母が苦しむ可能性があるのに、「周りにはいないから大丈夫じゃない?」「縄跳びや外遊びならリスクは低い」で遊びに行くのはどうかと思います。たまたまかからなかっただけの話、リスクが0ではないのは事実です。ふとしたときに飛沫感染するかも、うっかり遊具に触れて感染するかも、何があるかわからないからみんなで自粛して終息させよう。ということではないのでしょうか?
    それぞれの意見でバラバラの基準で行動してしまっては終息は難しいのではないでしょうか?
    私の感覚としては安易に公園などに連れて行くことは、子供の命で病気にかかるか、かからないかの賭け事をする様に感じます。
    我が家では子供にも正直に病気が流行っていて、大切な人が亡くなってしまうかもしれないからと伝えています。ほぼ庭や家での遊びばかりですが、祖母が亡くなったりしたら絶対に嫌だからと我慢してくれています。
    もちろん、自粛警察のようなものには賛同できませんが、お互いのために少しでも早く終息するように少し我慢してみませんか?

    また、公園で遊ぶ子供に厳しい!という討論と今の状況は大きく違うと感じました。その討論はまた別の時にするべきでは?

      
  • 匿名 says:

    横浜市在住の方へ。あなたとお子さんにしてみれば、1か月ぶりです。公園は誰もが遊んでいい場所です。ただ、目の前に住んでいる住人からすると、絶えず人が来る状況なわけです。遊んでいる子のうち、この子はいつも、この子はたま、などといちいち認識していないと思います。

    コロナを警戒してなのか、うるさいからなのか、苦情の原因はわかりませんが、あなたのお子さんが不自由を強いられているのと同様に、ご老人も自宅にいるしかない状況を強いられているわけです。子供にはない、老人ならではのストレスもあるかもしれない。
    自宅からはどこにも逃れようがないでしょう?リラックスできるはずの自宅で、イライラさせられるのは、苦痛だと思いますよ。あなたは、他人のエリアに来て遊ばせ、帰ればいいけれど、来られる方は迷惑なこともあると思います。相手の状況は、考えてみましたか?

    かと言って、遊べないのでは、今度はお子さんだけが100%我慢することになり、それも違う気がします。何が気に入らないのか聞いて、感染リスクが問題なら、マスク着用、距離を取る等して、たまだし短時間だからと説明する。音の問題なら、気をつけて、短時間にすると説明する。譲り合ってうまくいくといいですね。

      
  • 匿名 says:

    横浜市在住です。緊急事態宣言が解除されていく中、横浜市は感染者数は基準に満たず、まだ緊急事態宣言中です。学校再開の目処もたっていません。
    ずっと外出を控えていましたが、昨日久しぶりに公園にいきました。友達に久しぶりに会い、公園で大縄跳びをして楽しく遊んでました。そこへ女性のお年寄が近づいてきて、(目の前のマンション)ここの住人ではないのに、なぜ遊んでいるのかと叱られました。

    公園で遊ぶのは1ヶ月ぶりです。しかも公園は住人しか使用できないわけではありませんし、毎日長時間複数でいるわけではありません。1ヶ月ぶりです。コロナで警戒している中とはいえ、子供達は必要以上に無理を強いられてる上、大人が子供遊びたい気持ちに寄り添えない環境ってどうなんだろうと思いました。

    そのご老人は、その後すぐマンションの管理人さんに苦情を長い時間話をされていました。その長い時間、近距離で話し続ける方が感染リスクは高く迷惑な行為ではないかと思います。どうして、年寄の理不尽な苦情に子供が我慢を強いられてるのでしょうか?みんな子供の時代があり、あそび、見守られながら生きてきたはずだと思うのですが。

      
  • 匿名 says:

    中学・小学生の子どもは、いままで放課後に過ごしていた場所、学校の校庭、公園、児童館、図書館が全部使用禁止になりました。もう2か月近く、友達と遊ぶことも外出することも我慢して、8割どころか、家族以外の人との交流がほぼなくなりました。
    様々な経験・人との関わりを学ぶ時期に、生身の人との交流、人と何かをする経験ができないのが心配です。ネットの交流からでは学べないことも多い気がします。
    公園や校庭の利用、3密に配慮しながら、短時間や少人数などのルールを決めたり、何か工夫をしながらできないものでしょうか。

      

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