〈えほん〉「こどもたちは まっている」著・荒井良二

(2020年6月26日付 東京新聞朝刊)
写真

(長壁綾子撮影)

 子どもたちは待っている。船が通ることを、貨物列車が来ることを、雨上がりを、夏を、雪が降るのを、お祝いの日を、月が出るのを、夜明けを…。繰り返される日々、いつも何かを待っている。

 ページをめくるたびに現れる「まっている」の言葉と、子どもたちの目を通した鮮やかな日常の一場面。読み手も幼いころの懐かしい感情を呼び起こされる。

 国内外で高い評価を受ける著者が、故・長新太さんの「ちへいせんのみえるところ」へのオマージュとして描いた。

 美しい世界を、子どもたちはずっと待っている。

 1760円。亜紀書房=電話03(5280)0261。

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