家計管理はどんぶり勘定でOK 最初の一手間だけかけて〈どんぶり一家のマネー術〉
子育て中の資産形成、どうすれば?
財子 お金に関する知識が増えたので、これからは家計管理に前向きに取り組みたいです。
陽子 学費や受験費用、奨学金、税金、働き方、子どものおこづかい、マネー教育などいろいろお話ししてきましたね。
財子 ただ、元々大ざっぱな性格なので、子育てや仕事で手いっぱいになると、すぐにどんぶり勘定に戻ってしまうのが悩みです。
陽子 子育て中はまず、子どもに向き合ってほしい。だからこそ、家計管理や資産形成は最初の一手間だけかけて、後はほったらかしでいいと思います。
財子 私のようなタイプにぴったり。最初の一手間とは?
陽子 例えば、少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)のような税優遇制度で投資信託の積み立てを設定すること、保険やスマホの契約を見直すこと、キャッシュレスの手段を整理することなどですね。手続きなどが少々面倒ですが、その後は時々メンテナンスするだけ。運用状況なども1年に1度確認するぐらいでいいんです。子育て中は毎日慌ただしく、1年1年があっという間。放っておいたら、いつの間にかお金が増えていたというのが理想です。
目先の「お得」にとらわれすぎない
財子 最初にどんなサービスや金融商品を選ぶかが重要ですね。自分の選択に自信が持てるかな…。
陽子 目先の「お得」にとらわれすぎなくてもいいですよ。スマホやクレジットカード、電力・ガスなど何が一番いいか調べるだけでも大変だし、決めてもサービス変更はしょっちゅう。夫の扶養内で働くのが一番得、と思っていても、自分のキャリアを長い目で見た場合、必ずしもそうでない場合もあります。
財子 人生観や家庭の状況、ライフスタイルの変化などによって何が得なのか分かりませんね。
陽子 「お金は良い召し使いだが、悪い主人でもある」という言葉があります。常にお金のことばかり気にし、振り回されるような人生は望ましくありません。お金に使われるのではなく、使う側に立つことが大事。自分らしい方法でコントロールすることを心がけていきましょう。
財子 難しければ、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも一手ですね。
監修・八木陽子
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体「キッズ・マネー・ステーション」を設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う「株式会社イー・カンパニー」を設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。
※「どんぶり一家のマネー術」は今回で終わります。