夫婦の家事分担、最多は「妻が9割」共働きでも「妻が7割」 不公平感とすれ違いを「パラレル家事」で防ごう
リンナイの意識調査 まだこんなに…
リンナイは昨年12月、全国の20~60代の既婚者2350人を対象に調査を実施。男女別に聞いた家事の分担割合に関する質問では、女性が34%、男性は28%が「妻9割、夫1割」と答えた。主な収入源別に聞いた質問では、共働き夫婦でも「妻7割、夫3割」が最多で30%だった。
「想定以上に女性が家事をやっている」。知的家事プロデューサーとして家事を効率化する方法を提唱し、調査を監修した本間朝子さん(48)=神奈川県=は結果に驚く。「もっと男女差が解消されていると期待した。家事をシェアする意識はまだ広まっていない」
認識にズレ 「妻10割」と答えたのは
家事分担の認識が夫婦間で異なっている面もあるようだ。男女別の質問で家事分担が「妻10割」と答えた女性は23%だが、男性はわずか8%。家事で重視するポイントを聞いた質問でも、「食事は手軽に作りたい」と考える女性が66%に上った一方、男性は22%にとどまった。
こうしたずれの解消に向けて、本間さんは家事分担の一覧表「家事シェアシート」作りを提案する。食事、掃除、洗濯、育児のジャンル別に「食材を買う」「献立を考える」などの家事内容を書き出し、誰が担っているのかを「見える化」する。「家事をしない人からは見えない家事がたくさんある。お互いに同じ量の家事が見えている状態にした上で、どの家事に困っているのか、何を手伝ってほしいのかを話し合ってほしい」と呼びかける。
並行する作業を分担「パラレル家事」
「相手の不満や不公平を見過ごさないことが大切」。家事シェアを推進するNPO法人「tadaima!」(東京)代表理事の三木智有さん(43)はこう話し、「パラレル家事」を勧める。夫がご飯を作る間、妻が子どもの相手をする、というように、2つの並行(パラレル)する作業を分担する方法だ。妻が調理した後は夫が皿洗いをする、と前後する作業をひも付けてもよい。「複数のパラレル家事を共有できれば『これをすれば、相手はこれくらいやってくれる』と相手への期待が外れにくくなる。日々の中で不公平感を解消できる」と利点を挙げる。
「相手のせいにしないこと」も、シェアを進める上で大切にしたい心得。清潔さ、きちょうめんさの水準は人により異なる。三木さんは「家事が苦手なパートナーに自分の質を望むのは難しい。作業を頼む時は、相手はここまでならできるというボーダーラインを意識して、全部でなく、途中までの作業を任せるなど工夫してほしい」と語る。
将来の自分のためにも家事シェアを
家事を全くする気がない人は「単に家事の負担を生み出さないこと」を目指したい。「飲んだ後のコップは自分で片付ける、リモコンを取ってもらうなど不要な頼み事をしない、自分のことは自分でするのが大切」と助言する。「家事シェアは人と人が一緒にすることで、最終的には家族の関係性が大切。よく話し合って意思疎通を図って」
本間さんも「家事は本来はみんなでやるもの。死別や入院、認知症などでパートナーの助けを得られなくなる場合はある。家庭円満のためだけでなく、将来の自分のためにも家事シェアを進めてほしい」と呼びかける。
時短家電「5種の神器」を活用しよう
「時短家電」を導入すれば、家事の量や手間を減らすこともできる。本間さんは新しい「5種の神器」と銘打ち、洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食器洗い機(食洗機)、自動調理家電、スマートスピーカーの活用を提案する。
自動調理家電は、食材や調味料を入れるだけで、かき混ぜや火加減を自動で行ってくれ、出来上がりの時間を設定する予約調理もできる。ロボット掃除機は、留守の間に清掃することも可能。床ふきの機能付きや、手入れが楽なごみタンク付きの製品もある。
スマートスピーカーは調理タイマー代わりになり、「3分計って」などと話しかけるとタイマーがセットされる。家族がそれぞれ買いたい物を声で登録し、共有の買い物リストとして使える製品もある。食洗機は皿洗い、洗濯乾燥機は洗濯物干しの手間を省ける。
本間さんは「時短家電は誰がボタンを押しても同じ質に出来上がり、家事が苦手な人も使いやすい。家族に家事参加を促すきっかけになる」と話す。
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