痴漢を目撃したら、勇気を出して被害者を守って 浦和麗明高の演劇部と埼玉県警がコラボ動画

大久保謙司 (2024年4月25日付 東京新聞朝刊)
 埼玉県警鉄道警察隊(鉄警隊)は今月、痴漢被害の撲滅を訴える新たな啓発動画をYouTubeで公開した。痴漢を目撃した時に被害者を守る行動をとるよう呼びかける内容。鉄道事業者や学校などでつくる県鉄道痴漢犯罪防止連絡協議会に参加する浦和麗明高(さいたま市浦和区)の演劇部員が出演した。生徒は「目撃者が被害者に声掛けをできるきっかけになればうれしい」と期待する。

見て見ぬふりせず「大丈夫ですか」

 動画は「have courage~小さな勇気は大きな安心となる~」(3分48秒)。ドラマ風の構成で、痴漢の被害を受けている可能性がある同年代の女性を電車内で見かけた男子高校生が学校で警察官に教わった対応を思い出し、勇気を出して「大丈夫ですか」と声をかけようとするストーリー。

 電車内の光景は居眠り中に見た夢の世界だったが、男子高校生は目覚めた後、夢を思い返し、被害者のために行動することの大切さに思いを致す。周囲が見て見ぬふりをしないことが痴漢の加害者の犯行を抑止し、被害者を守る力になることを伝えている。

写真

演劇部員が出演した啓発動画を視聴する生徒たち=さいたま市浦和区で

 撮影には埼玉高速鉄道とJR東日本も協力。埼玉高速鉄道の浦和美園車両基地(さいたま市緑区)に留置された列車が列車内の場面の撮影に使われ、JR大宮駅構内で痴漢撲滅へ活動する鉄警隊員らも描かれる。

2023年、列車内だけで218件の相談

 16日、同校で「視聴会」があり、教室に演劇部員らが集まって動画を視聴した。男子高校生を演じた3年の三瓶由騎(みかめゆうき)さん(17)は「女性に声をかけようとして何度か思いとどまる場面では、(演じた男子高校生の)気持ちの動きを意識して演技した」と話し、「痴漢の被害が一つでも減ることにつながれば、頑張って演技したかいがあると思う」と笑顔で話した。

 埼玉県警によると、2023年、痴漢被害の相談は列車内の被害に関するものだけで218件あった。鉄警隊の佐藤和則隊長は「痴漢は心に深い傷を残す卑劣な犯罪。被害を当事者だけの問題と捉えず、社会全体で手を差し伸べることで痴漢を許さない機運が高まってほしい」と市民らの幅広い協力を求めた。

 痴漢撲滅を訴える県警の啓発動画はこれまで3本つくられており、新作と共にYouTubeの埼玉県警公式チャンネルで公開している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年4月25日

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