〈えほん〉「わすれていいから」作・大森裕子

(2024年5月29日付 東京新聞朝刊)
写真 絵本「わすれていいから」

(長壁綾子撮影)

 俺がはじめて家に来た時、おまえいたよな。俺はどんどん大きくなって、おまえはゆっくり大きくなった。生まれた時からいっしょ。ここは俺たちのなわばりだ。だけど、おまえはだんだん、いないことが多くなったよな…。

 赤ちゃんから少年、そして青年へと成長する男の子の姿が、猫の目線で語られる。繊細な筆致で描かれた猫の姿が愛らしい。

 当たり前の日々が、大切であることを思い出させてくれる物語。そっとそばで寄り添ってくれる存在に感謝したくなる。

 1650円。KADOKAWA=電話0570(002)301(ナビダイヤル)。

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