保育料の第1子無償化、無痛分娩への助成… 過去最高の税収で子育て支援など充実へ〈チェック! 都の予算案〉

一般会計当初予算と都税収入
自民、都民ファ、公明の要望も反映
小池知事が昨夏の知事選で公表した約70項目の公約のうち、保育料の第1子無償化(279億円)、陣痛を和らげる無痛分娩(ぶんべん)への助成(12億円)、環境性能の高い住宅・建築物の推進(321億円)などを計上。安価で住める「アフォーダブル住宅」の促進(100億円)、民間病院への支援(321億円)など自民党、都民ファーストの会、公明党の「知事与党」が要望した事業も多い。
保育料無償化は、18歳以下に月5000円を支給する「018サポート」や高校授業料の無償化に続く、大規模な少子化対策となる。都幹部は「区市町村と負担を分け合えないかという議論も庁内にあったが、本来は国がやるべき施策。(単独で実施することで)国を動かすというメッセージを込めた」と明かす。
都税収入が前年度から5431億円増えるなど潤沢な財源が後押しした。特別会計、公営企業会計を含めた総額は17兆8497億円に上り、都によるとスイスの国家予算と同規模。小池知事は31日の記者会見で「有権者に公約を諮り、支持を受けた。速やかに実現していくための予算を盛り込んだ」と強調した。
貯金に相当する基金は7144億円取り崩し、残高は1兆6570億円になった。恒久的に多額の支出が見込まれる施策も多く、2兆円程度の残高が望ましいと指摘する都議もいる。ある自民都議は「ばらまきは一度やったら、やめられない」と懸念した。

2025年度 都の一般会計予算案
歳入
歳入の8割弱を占める都税収入は軒並み伸び、総額は6兆9296億円(前年度比8.5%増)と7兆円に迫る。うち法人2税は製造業や小売業を中心に好調な企業収益を受けて2兆5362億円(同10.2%増)、個人都民税も賃上げなどで1兆2451億円(同14.1%増)。基金は7144億円を取り崩し、残高は1兆6570億円となる。借金に当たる都債の発行額は2034億円(同34.9%減)に抑えた。
歳出
歳出は公債費などを除く政策的経費が6兆8978億円で、前年度より5276億円増えた。分野別でみると、子育て支援などの「福祉と保健」が1兆7716億円(同10.0%増)と最も多く、政策的経費の4分の1を占めた。次いで、世界陸上などの開催経費を含む「教育と文化」が1兆4555億円(同4.1%増)、「警察と消防」が1兆126億円(同5.1%増)、調節池など中小河川の整備や東京港の建設事業などの「都市の整備」が9989億円(同9.3%増)となった。
長引く物価高を受け、都の工事費や事業委託費への影響額は630億円程度と見込み、民間企業の賃上げに伴う都職員の給与改定の経費約650億円も盛りこんだ。

基金残高と都債残高
「人を育てることを進めた」 小池知事 一問一答

定例記者会見で話す小池百合子知事=都庁で
-新年度予算案の目玉施策は
人を育てるということをさらに進めた。東京は人で成り立っている。一人一人の力を生かし、希望を生かせる環境をつくるため、第1子の保育料の無償化、留学(支援の)奨学金などに力を入れた。
防災も待ったなしだ。ハードとソフト両面が必要。埼玉の道路陥没もあるが、調節池や下水道などの機能を高める。「首都防衛」を予算に取り入れた。
-お台場海浜公園の噴水整備に26億円を計上した
噴水はお台場だけじゃありません。代々木(公園)などさまざまな公園で、噴水ひとくくりという形で進めている。東京の魅力を向上させていく。
-新規・拡充事業に知事公約が多く入っている
公約は実現するために掲げているもの。できるだけ早く実現していくための予算を盛り込んだ。
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