【板橋区】父親の産後うつ対策【荒川区】インフルワクチン無償化【北区】不妊の「先進医療」助成〈首都圏の子ども予算案2025〉
板橋区 父親の産後うつ防止へ質問票を作成

子育て支援策などを説明する板橋区の坂本健区長
板橋区は男性の産後うつを防ぎ、父親のメンタルヘルスを守ろうと、相談支援体制を強化する。育児しやすい環境を整えることで、子どもたちの健全な発育や発達につなげる。57万円を盛った。
育児に積極的な父親が増える一方、不安を抱える人は少なくない。区内5カ所の健康福祉センターでは昨年4~9月だけで、メンタルに不調がある乳幼児の父親15人を継続的に支援。「怒りやすくなった」「気持ちが落ち込む」といった悩みが聞かれたほか、睡眠不足やうつ症状がある人もいた。
板橋区は今年4月から、妊婦面接や乳幼児健診で母親に回答してもらうために用意している質問票に加え、父親向けも作る。乳幼児健診などの場で答えてもらい、必要な人は個別の支援や医療機関の診察につなげる。
育児に不安がある母親向けに開いていた「こころの相談室」も年30回から47回に増やし、父親にも参加を呼びかける。希望者には、オンラインや訪問でも対応する。坂本健区長は「5年、10年先の区の子育て環境を変えたい」と意気込んだ。
板橋区役所の待合エリアに絵本コーナーを設置する取り組みには、551万円を計上。木材を使った絵本棚やイスを並べ、誰もが絵本に触れやすい環境をつくる。(中村真暁)
荒川区 0歳~中3のインフル予防接種を無償化

新年度予算案を発表する荒川区の滝口学区長
荒川区立小中学校の修学旅行、遠足や移動教室、ドリルなどの一部補助教材、卒業アルバムをまとめて無償化する。修学旅行約8万円やアルバム1万~3万円など、小中9年間で子ども1人あたり計約40万円に上るという保護者負担を軽減する狙いがある。予算額は計5億4923万円。
荒川区立小学校の全児童に対し、大地震などの災害発生時に落下物から頭部を守る帽子「防災キャップ」を配布する。区によると23区初の取り組みで、5027万円を盛り込む。滝口学区長は「子育て家庭を支援する取り組みに集中的に配分し、子どもたちが健やかに成長できる環境を整えた」と力を込めた。
9304万円を計上し、生後6カ月から中学3年生までの子どものインフルエンザ予防接種も無償化。従来の注射型に加え、点鼻型の「フルミスト」も対象となる。65歳以上の高齢者のインフルワクチン接種費用も1億8386万円を計上して無償化する。
このほか、荒川区内へ人を呼び込むための取り組みとして、吉村昭記念文学館(荒川2)と他区の文学館を周遊する文学館巡りなどを企画し、2967万円を盛り込んだ。(細川暁子)
北区 不妊治療の負担軽減へ都の助成に上乗せ

新年度予算を発表する北区の山田加奈子区長
北区は不妊治療の経済的負担を軽減するため、保険適用の治療と合わせて実施される「先進医療」の一部を助成する。1回あたり15万円を上限に費用の7割を補助している都の助成に上乗せし、区は5万円を上限に補助する。302万円を計上した。受精卵を培養器に入れたままカメラで観察する「タイムラプス」などが対象となる。山田加奈子区長は「私自身も不妊治療を経験して、子どもを授かった。金銭的な課題であきらめてしまうことがないように、との思いで盛り込んだ」と力を込めた。
年間約1万2000件の申し込みがある文化芸術活動拠点「ココキタ」(豊島5)の利用申請をオンライン化する。窓口での新規利用登録書などの記入が不要になり、キャッシュレス決済も導入することで混雑を解消する。366万円を盛り込んだ。
電子書籍を貸し出すサービス「電子図書館」を導入し、2026年1月からの運用を予定している。予算額は481万円。SNS上で影響力のある人たちに協力してもらい、北区のPRやブランディングを強化する取り組みには1520万円を割いた。(細川暁子)
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