子離れしてから後悔「台所にこもって料理するより…」 『続 思春期コロシアム』高野優さんから育児中の親たちにエール
ゴールは子どもの自立、と言ってきたけど…いざそうなると
―連載終了を知った読者からは「寂しい」との声が寄せられています。
スタートした時は大学生と高校生だった上の2人は成人し、中学生だった末っ子も高校3年生。本当に親離れ、子離れの時期になりました。いろいろなことが凝縮された5年間であっという間でしたが、いつも遠く離れた友達に「今日はこんなことがあったよ」と手紙を書くつもりで続けてきた連載でした。
―子離れ、どんな気持ちですか。
これまで講演で「親にとってのゴールは子どもの自立」と声高に言ってきたのに、いざとなるとうれしさなのか、寂しさなのか、何とも言えない気持ちなんです。周りでは、「空の巣症候群」の寂しさで泣いている母親と、逆に生き生きしている母親と二手に分かれている感じ。私はどちらに進むのかわかりませんが、今は子どもたちが元気に育ってくれたことに感謝したいです。
「お母さん…」と言ってくれる時期は、本当に短いものです
―連載に登場する3人の娘たちは個性的でした。
比べない子育てをしたいと思い、あえて習い事などもそれぞれ違うものをさせました。反抗期もそれぞれ大変でしたが、長いトンネルを抜けた今は、ものすごく気が楽です。子育ては、子どもが大きくなってからが楽しい、というのがすごく大きな発見。体力や気力も、子どもたちに抜かされたけど、今はお互いが楽しい相棒です。
―子育て真っ最中の読者に伝えたいことは。
子どもが小さいころは、健康にいいものを食べさせなきゃと、台所に長時間こもって料理したりしていましたが、その時間があるならお総菜を買って、子どもの話を聞いたり抱っこしたりする余裕を作ればよかったなと思います。「お母さん聞いて」「お母さんじゃなくちゃ嫌」「お父さんがいい」と言ってくれる時期は本当に短いものですよ。
―漫画を通じて届けたい思いとは。
四半世紀、育児漫画を描き続け、ずっと変わらないことが一つだけあります。保護者、特にお母さんに寄り添いたいという思いです。この先どんな漫画を描くことになるか分かりませんが、心細いお母さんのそばで、「大丈夫だよ」「いろんなことあるけど、子どもは大きくなるよ」というメッセージを伝えていきたいです。
高野優(たかの・ゆう)
育児漫画家・イラストレーター。社会人、高校生の3姉妹の母。『思春期コロシアム 決戦のゴング開幕戦』(東京新聞)、『HSP! 自分のトリセツ』(1万年堂出版)ほか、著書多数。オフィシャルブログも執筆中。
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