「育業」のネーミング、ピントがずれてませんか? 男性育休の取得推進に必要なことは

(2022年8月5日付 東京新聞朝刊)
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「育児休業のイメージを一新する」と愛称を発表した小池百合子都知事

 東京都が育児休業の新たな愛称を「育業(いくぎょう)」と決めた、というニュースがありました。男性の育休取得を促す狙いだそうですが、ピントがずれているとしか思えませんでした。

 東京すくすくのSNSにも「育児は業務ですか?(中略)言葉を変えれば良いってもんじゃない! 育児は言葉遊びではない!」との書き込みが。「親が子育てのために休みを取る『育休』はあくまで労働者の『権利』(中略)業務、務めと仰々しく考えないと仕事を休めないという間違ったメッセージを社会に示し定着させることになりかねません」との指摘もありました。

 10月からは、育休とは別に子どもが生まれて8週間以内に4週間まで取得できる「産後パパ育休」も始まります。男性が育児のために仕事を一定期間休むことは、より当たり前のことになっていくと思います。

 「夫婦で一緒に育児をスタートさせたことで、夫も赤ちゃんと積極的に関わり、直接の授乳以外のお世話は一通りできるように。家族としての絆が強くなりよかった」。育休を経験した男性たちのリアルな声を伝える記事「男性育休の『失敗談』に学ぼう」には、1カ月の育休を取った夫と協力し、育児をスタートさせた40代女性からのコメントが寄せられました。

 女性の夫は出産予定の半年ほど前から上司や同僚と相談して業務を調整。並行して育児の勉強をしたそうですが、両親学級がオンライン開催になるなど不安もあったそう。「父親が家事や育児を学べる場がもっと増えてほしい」という女性の願いに応えるような取り組みこそ、行政が力を入れるべき施策ではないでしょうか。

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  • 育業、いいと思う says:

    言葉遊びだ実を伴わないだなんだと取り敢えず否定から入る人が多くいますが、言葉って大事ですよ。

    人間は言葉を使って思考しますし、さらに日本人は漢字のもつイメージも含めて思考します。また、その単語がよく使われる文脈によってもイメージづけされています。思考は言葉に引っ張られるんです。

    「育休」ってよく言いますが、「育児休暇」だとごく自然に思ってる人がいます。僕も元はそうでした。だって「有給休暇」があるから、同じような名称の省略形だと思うじゃないですか?

    そしたら育児休業だったんですよ。休業って、傷病手当とか営業停止の文脈でよく使われるのを見てきたので、「仕方なく仕事を休む期間で、その間働けずに困る状況」というイメージがありました。休暇は、有休のイメージが強くて、「私的な用事をするために取る自由時間」のイメージです。

    実際、「育休を取ります」への返事は、「ゆっくりしてね」「結構休むんだね」なんかです。これ、「(こんな長く休めることなんてそうそうないんだから)ゆっくり休んでね」です。その期間中にやるべきことには意識はほとんど向けられず、「休める」ことにフォーカスされます。

    言葉に引っ張られてると思いません?十分有意義だと思いますよ。

    育業、いいと思う 男性 30代
  • 匿名 says:

    育業…初めはピンとこなかったのですが、いろんな意見を見てると、「育業」もアリというふうに思ってきました。
    まず育業はネーミングセンスが無い、育休をとれる社会の空気が無い、奥様方は夫の育休を望んでない…というのはほとんど男性のようで、どうも「(育児を)やりたくないんだな。やらない理由探しだな」と感じたのです。
    産みたい人、産める人、が産んでもハラスメントされず、その子の父は育児するのが自然なこと、その育児の苦痛を社会がサポートするのが当たり前、ついでに子のない人も蔑まれない社会を作れますかね?実現してほしいね。

     女性 50代
  • ひろ says:

    「育児も仕事のうち」→「休んでいい」なのかもですが、こんなひねらなくても「休まにゃいかんときは休む。これは権利じゃ!」と言えばいいのにと思いますね。

    ひろ 男性 40代
  • たあちゅん says:

    実収入が、ないので、業になると思う。自分は、小学生の時、下の弟と、11歳離れていたので、朝オムツを換えミルクを飲ませ、眠らせてから、学校へ行ってましたから。

    たあちゅん 男性 60代
  • ふかがわめし says:

    都知事の仕事は市長、区長に比べてアピール業務が多い。
    そのため、本来見るべきはそのアピールする元となる政策の中身のほうです。

    ここに新たな政策があるのかないのか?
    変えた作った政策があるとすれば、それはちゃんと必要な人に必要なものなのかどうか。コチラの検証こそが必要なことで、都知事はそれを都民に認知、浸透、定着させるプラスαです。

    そういう意味で、小池都知事の発信力は「ある」んでしょうが、いかんせん今まで、中身がない。中身が伴っていないもの。実は、口だけ。というものがあった分、これらが「コトバアソビ」にしか見えなくなっているのだと思います。

    実力はあるのですが、功績がないのです。

    ふかがわめし 男性 40代

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