アニメを見て「死ねぇ」と叫ぶ5歳の息子が心配〈宮里暁美の子育て相談〉

(2025年7月11日付 東京新聞朝刊)

気になる乱暴な言葉遣い よい注意の仕方は?

 5歳の長男がアニメ動画を見ながら、キャラクターと一緒に「死ねぇ」と大声で叫んでいるのを見て心配になりました。ゲーム機を手に「殺した」と言うことも。家の外で乱暴な言葉遣いをしていないか、よい注意の仕方を知りたいです。(30代母親、5歳長男、3歳長女)

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イラスト・永須華枝

まずは一緒にアニメを見て楽しんで

 子どもはスポンジのように、自分の周りにある刺激を吸収していきます。大人が話している言葉、友達が言っている言葉、動画の中で交わされている言葉など、なんでも。子どもは意味をよく理解しないまま、「死ねぇ」や「殺す」などの言葉を発してしまうことがあります。

 親として「わが子がそんな言葉を言うなんて許せない」「このままにしておいてはいけない」と思う気持ち、よくわかります。強くしかり禁止すれば親の前では言わなくなるかもしれませんが、友達との会話で言う可能性は十分にあります。子どもの心に届くような関わりがとても大切なのです。

 ではどうすればいいのか。私がお勧めするのは、そのアニメをお母さんも一緒に見ることです。まず一緒に楽しむことを心がけてほしいのです。「あなたが大好きなアニメ、一緒に見たいな」と楽しそうに話しかけて。

 一緒に見てみると、そのアニメが「死ねぇ」と叫ぶような場面ばかりではないことが分かるかもしれません。主人公が努力していたり仲間と協力していたりする場面が描かれていて、「いい話だね」と会話が弾むかもしれません。

 自分が楽しんで見ているものを、お母さんやお父さんも楽しんでいると感じるのは、お子さんにとってとてもうれしいことです。そうやって一緒に楽しみつつ、「死ねぇ」と叫ぶ場面に出くわしたら、「なんだか怖い!」、平和が訪れたら「よかったねえ」とつぶやいたり。大人としての素直な気持ちを表すのはとても大事です。

 そして「お母さんが好きな動画も見る?」と、心がほんわかするものを一緒に見るのもいいですね。動画や絵本を親子で見てドキドキしたりワクワクしたりする。そのような経験の中で、感じたことを言葉にする関わりを重ねていれば、乱暴な言葉遣いの子どもにはならないと思います。どうぞ、楽しい時間を親子で一緒に過ごしてください。

(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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