〈えほん〉「クマと少年」作・あべ弘士

(2018年6月22日付 東京新聞朝刊)

 

写真

長壁綾子撮影

 アイヌ民族にとって、ヒグマは最高の神とされる。大事に育てた子グマに、神の国へ帰ってもらう「イオマンテ」という儀式がある。

 少年とヒグマのキムルンは、同じ母のおっぱいを飲み、一緒に遊び、兄弟のように育ってきた。そして、今年もイオマンテがやってきた。

 「生命の復活」「神との交信」。壮大な物語を飾る絵は力強く、生きものたちが動きだしそうだ。作家はアイヌの聖地を望むアトリエで描いたという。命をいただいて生きていることを、思い出させる。

 1620円。ブロンズ新社=電話03(3498)3272。

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