子ども虐待防止「対症療法には限界」 東京都が新年度から抜本的改革に向けて議論
石原真樹 (2020年2月8日付 東京新聞朝刊)
児童虐待相談の件数が増え続ける中、東京都は新年度、虐待防止の「抜本的な改革」に向けた検討を始める。児童相談所と区市町村、民間の役割分担のあり方や里親をどう増やすのかなど、テーマを限定せずに幅広く議論する。
事件のたびに対策を打ち出すけれど…
東京都は4月に児童福祉審議会に専門部会を設置し、年内に提言をまとめる。国に法改正なども提案するという。
これまで子どもが命を落とす重大な虐待事件が起きるたび、国が児相や区市町村の体制強化や緊急安全対策などを打ち出し、都も児童虐待防止条例を制定するなどしてきた。ただ虐待相談は減らず、現場は疲弊。都は「対症療法的な取り組みでは限界」と判断し、将来的に目指すべき児童虐待防止のあり方について検討することにした。
難しい家庭への介入 里親委託にも課題
現状では、児相が子どもを守るために家庭に介入しようとしても、保護者と対立し、逆に支援が進まなくなるケースが少なくない。
また国は、保護した子どもの里親委託を大幅に増やす方針だが、児童養護施設にとっては子どもを里親に移管すると、補助が減らされ運営が難しくなる。これらの課題について、現行制度や法律の枠にとらわれずに議論する。
都の担当者は「10年、20年先を考えて、児童相談の根本から議論をしていただきたい」と話す。
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