問題を抱える子も、普通の子も…「君の声が聴きたい」 子どもの思いに向き合う番組 NHKがこどもの日から集中放送 - 東京すくすく | 子どもとの日々を支える ― 東京新聞

問題を抱える子も、普通の子も…「君の声が聴きたい」 子どもの思いに向き合う番組 NHKがこどもの日から集中放送

(2023年5月5日付 東京新聞朝刊に一部加筆)

NHKの「君の声が聴きたい」に出演する左から広瀬アリス、内村光良、松村北斗

 NHKは「こどもの日」の5月5日から12日までの8日間、子ども・若者から寄せられた1万4000件の意見や思いに向き合った番組を集中放送する。

子どもの幸福度 日本は38カ国中37位

 主な番組を紹介する「君の声が聴きたい―“考える”をはじめる―」(総合、5日午後7時半)をはじめ、「NHKスペシャル」「LIFE!春」「バリューの真実」など関連番組は約50に上る。

 子どもの声に耳を傾けて大人に何ができるのかを考え、幸せのヒントをみんなで考えようとのプロジェクト「君の声が聴きたい」。2020年の国連児童基金(ユニセフ)の調査で、日本の子ども・若者の精神的幸福度が先進38カ国中37位だったことを踏まえ、彼らの不安に向き合う番組を作ろうと立ち上げられた。

昨年の放送に反響「自分だけじゃない」

 岡本朋子プロデューサーが昨年に続いてプロジェクトを統括する。昨年、こどもの日に合わせて約40番組を放送した後、子どもや若者から「苦しんでいるのは自分だけじゃないと分かった」「恥ずかしくて言えなかったことが言えるようになった」などの反響があったといい、「子どもたちに『(思っていることを)言っていいんだ』と感じてほしい。それを聴こうとしている大人がたくさんいると知ってもらえたら」と思いを語る。

 取り組みを進める中で感じるのが「子どもたちはとても真面目」ということだ。「昔だったら、校舎の窓ガラスを壊したなどがあったけれど、今の子は自分を傷つける方向にいく。『自分がダメなんだ』と」。自己肯定感や自己有用感が低い背景には、子どもたちが「こんなことではダメだ」と常に言われており、今を楽しむことができず、将来、社会に出た時に生活できるのか不安を抱かざるを得ない状況があるのでは、と推し量る。

何も表現しない「普通の子」が心配

 昨年の放送後には、東京都の公立中学校教諭から、学校が好きな子と、不登校という形で意思表示する子の間にいる、何も表現しない「普通の子」が心配だとつづられた手紙も届いた。

 「ヤングケアラーなど問題を抱えている子の場合、問題は解決しなきゃいけないけれど、話を聴く場は設定できる。でも、普通の子から話を聴くことは本当に難しい」と岡本プロデューサー。プロジェクトでは、できる限り「普通の子」も含めた多様な意見を尊重するよう心掛けているという。

 5日の「君の声が聴きたい―」は、内村光良、広瀬アリス、SixTONESの松村北斗らが出演。シンガー・ソングライターあいみょんのパフォーマンスもある。

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