不登校「親の会」とは 同じ経験があるからこそ語り合える、大切な居場所

長田真由美 (2021年1月22日付 東京新聞朝刊)

不登校の先に

 不登校の子どもを持つ保護者たちが語り合う「親の会」。同じ経験をしてきたからこそ、心を開き、言葉にできることがある。保護者にとっては、互いに共感し、情報の交換もできる「居場所」の一つだ。 
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ループの会合。最近はゲームにのめり込む様子を見て悩む親が多い=愛知県一宮市で

「誰かに聞いてほしかった」

 「昼夜逆転の生活に困っている」「ゲームばかりしていて大丈夫か」…。集まった保護者らが一人ずつ自己紹介をした後、悩みや苦しさを語り合う。愛知県一宮市で月に1、2回開かれている「不登校親の会 ループ」の交流会だ。

 2年半ほど前から参加する40代女性は「親としてどうしていいか分からず、誰かに聞いてほしかった」と話す。高校1年の息子(16)が中学1年の3学期から不登校に。「勉強もできるし友達もいる。突然で途方に暮れた」と振り返る。

 約半年が過ぎたころ、存在は知っていた「親の会」についてインターネットで検索し、地元のループを見つけた。ただ、大人数で話すのは苦手。半年ほど通ったが、中学のスクールカウンセラーに「今は子どもにエネルギーがない状態。自分を責めなくていい」と言われて楽になったこともあり、足が遠のいた。

話して、心が少し軽くなった

 久しぶりに参加したのは昨年の秋だ。新型コロナウイルスがきっかけだった。息子は「スポーツ系のサークルがある高校なら行けそう」と進学し、張り切っていた。だが、夏まで続いた休校で気力が薄れ、学校再開後は1日登校しただけ。

 交流会に出なくなった後も、ループのスタッフからは定期的に「元気ですか」「息子さんはどうですか」とメールが届いた。「気に掛けてくれる人がいる」と感じるだけで心強かった。再び足を運び、他の保護者と話すと心が少し軽くなった。女性は「息子にもそういう人が一人でもいて、居場所があれば」と願う。

 ループは約20年前に発足。代表の山田国昭さん(60)によると、当時、親の会はほとんどなかった。小学生の娘2人が不登校だった山田さんは「困っている親が他にもいるのでは」と、同じように不登校の子を持つ親2人と設立した。現在は約70人が参加。過去に子どもが不登校だったスタッフ9人で運営している。

「コロナを機に」増える相談

 「学校にスクールカウンセラーが置かれるなど、相談できる場所は増えた」と山田さん。ただ、同じ親同士だからこそ、相手の悩みが分かり、言葉も響く。参加者からは「『見守ることが大事。家の居心地を良くしてあげて』とアドバイスされた」「将来が不安だったが『いろんな進路があるから心配しないで』と言われた」など今後に生かそうとする声が寄せられる。

 昔も今も顔を合わせて話すことを大事にする。コロナ下、オンラインで一度開催したが、今は参加者を8人以下に絞って開く。家や家族の元を離れ、ここに来て話すと、少しだけ気持ちが明るくなって帰る人は、女性を含め少なくない。

 山田さんによると、コロナを機に不登校になったという相談も増えている。「一人で悩まないでほしい」と呼び掛ける。

「親の会」全国に100団体超

 「不登校・学びネットワーク東海」(名古屋市)によると、愛知、岐阜、三重3県の「親の会」は計33。NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」(東京)には約100団体が加盟する。それぞれのホームページで各団体の情報が見られるが、活動する団体はもっと多い。

 2017年施行の教育機会確保法で、学校に復帰することが前提とされなくなった。それに伴い、ネットワーク事務局に寄せられる声も「学校との関係が楽になった」「親の会の存在を学校の先生が教えてくれた」などの内容が増えている。

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  • 夏みかん says:

    私は、障害があり学校で、いじめにあって、不登校になりました。
    担任が説得にきたりしてたんですが、母にどうしても行きたくないと言って、理由をはなしたら、母は理解してくれて、無理に行かなくてもいきたくなったら、少しづつ慣れていこって言葉をかけてくれてとても解放された気分になりました。学校に行ってどうしても、何故か落ち着かないときはトイレに隠れたりして早退することもありました。

    夏みかん 女性 30代

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