大変な卒業アルバム制作をAIで効率化 顔認証で生徒の登場回数を平等に 「作業時間が劇的に減った」
PTA、教員、製本メーカーにも負担
「卒アルで大変な思いをしている全国の人に知ってもらいたい」
2006年に起業した古田さん。翌年、写真館がネット上で学校写真やイベント写真を販売できるシステムを構築し、利用者を増やしてきた。
そんな中で耳にしたのが卒アル問題。東京ではPTAや卒業対策などの保護者が担うケースが目立つが、多くの地域では担任らが本業の合間を縫い、制作を担っていた。大量の写真からなるべく各児童、生徒が同じ頻度で載るよう配慮。登場回数を1人ずつ数え、手作業でレイアウトを決め、業者に写真の入れ替えを指示するなど何度も校正することも珍しくない。
製本メーカー側の負担も大きい。受注が年明け一気に集中し、納期に間に合わせるため、人手不足の中、従業員らが働き続ける状況があった。
AIが行事ごとに「いい写真」を学習
そこで古田さんが考えたのはAIの活用。開発担当者が中心となり、卒アル100冊以上を利用し、行事ごとによく使われる写真をAIに学習させた。AIがおすすめシーンや写りの良い写真を絞り込む。顔認識AIも搭載しており、子どもごとに登場回数を検知。回数が少ない子どもの写真を抽出してくれる。
2020年5月、写真店向けに卒アル業務効率化システム「アルバムスクラム」として、主に写真店向けに発売。写真店が学校に提案する際のオプションとして活用する。費用は子ども1人当たり数百円がアルバム代などに上乗せされることが多いという。
文科省が「働き方改革」事例で紹介
ウェブを使い学校や保護者、写真店、製本メーカーが同時に作業できるため「作業時間が劇的に減った」「発注が前倒しできた」などの声が届く。
ほかにも「PTAが在宅でできる」「児童が授業で作った」との利点も。文部科学省も教員の働き方改革につながる事例の1つとして紹介。全国約1600校が導入する。
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