とことん褒め合う僕らの料理〈清水健さんの子育て日記〉71

息子と作った親子チャーハン。作ること、食べることに忙しく、写真はこれだけ(笑)
息子に任せたニンジンは…
仕上がりの色を見て、息子が「いつもと違うね」と。ばあちゃんの帰りが遅くなった日、息子とふたりでチャーハン作り。「最後の味付けの量で色も変わるよね!」なんて、適当なことを言いながら、ふたりで納得し合う。
学校の家庭科でジャガイモの皮をむいたらしく、ピーラーの使い方は悪くない。でも、息子に任せたニンジンは、ずいぶん細くなった。2往復どころか3往復。わかる気がする。使っていると気持ちがいいんだろう。玉ネギも、とにかく切る。みじん切りかどうかは関係ない。「やっぱり、玉ネギは目にしみるね!」なんて、それっぽく言いながら、本格的に料理している気分を味わっている。
キッチンに飛び散ったご飯粒が気になりつつも、片付けより先に食べる。「いける!」と、お互いにとことん褒め合うのが僕らの料理。「コンソメの味付けがいい感じ!」。またそれっぽいことを言いながら。
「今日は先に出るね!」と家を出た朝。忘れ物に気づいて5分後に戻ると、「おかえり! 先にお風呂入る?」と息子が言う。「もう忘れ物はない?」と、僕がよく言うセリフをそのまま返される。生意気にもなってきた。
行動を気にできる今が幸せ
僕は高校時代、陸上部で、スタートラインに立つときは決まって、少し背伸びをしてゴールを見るようにしていた。目線が高くなれば、ゴールが近づくような気がして、少しでも速く走れる気がしていた。そんなことを息子に話したのは、いつだったろうか。その時は「ふーん」と、聞いているのか聞いていないのか、わからなかったけれど、先日の徒競走、スタートラインに立つ息子は、背伸びをしていた。聞いていたんだ。なんだかうれしくなる。
もちろん、イライラすることも多い。朝に約束した分の勉強が終わっていない。きっとゲームやYouTubeを長くしていたのだろう。仕事から帰っての丸つけや勉強の予定立て、週末の少年野球。「こんなにもやっているのに」という完全な親の都合で、僕はいつものように機嫌が悪くなる。寝た後に、iPadの使用時間をチェックすると、約束の時間はきっちり守られていた。信じていなかった自分を反省する。
言い合うこともある。ケンカして、口をきかない日もある。でも、こうやって、息子の一つ一つの行動を気にできるのはいつまでだろう。それって今しかない。だから、頑張れる。毎日、そんなふうにカッコよく思えるほど心の余裕なんてないけれど、やっぱり、一緒にいられる時間は、幸せに違いない。
清水健(しみず・けん)
フリーアナウンサー。10歳の長男誕生後に妻を乳がんで亡くし、シングルファーザーに。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
いつも、清水さんの記事を読むと涙が出てきます。私はシングルではないですが、自分なりに、頑張って子育てしました。今でこそ、イクメンと言う言葉がありますが、少し前は、子育ては、母親の仕事、育児家事の全般は母がする、という感じがありました。色んな夫婦、カップルがあるので子育ても色々だし、正解は無いんだと思います。27歳の娘は、今春に結婚し新居に引っ越しました。
まだ、寂しくて時々泣いてしまいます。娘の旦那さんは優しい彼で本当に良い子です、同級生なんです。娘は、保育士をしながら、共働きで、頑張っています。応援する気持ちは前には出さず、たまに、ランチしたり、家に来た郵便物を届けるくらいです。。。
きっと時間が解決する寂しさだよ、と友人は励ましてくれました。ぽっかり空いた穴は、まだありますが、自分の楽しみを見つけて、頑張ります。育てたように、子は育つ、あいだみつをさんの言葉通りです。きっと、清水さんの息子さん優しい子になりますよ、そして思いやりのある芯の強い子になりますね。親の気持ち、いつか伝わると信じて、頑張りましょうね。