教育系ユーチューバー 葉一さん 障害のある妹、いじめに遭っていた僕、母の優しさ

(2021年8月29日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

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教育系ユーチューバーの葉一さん(本人提供)

塾に通えない子のため、授業動画

 僕はYouTubeで子ども向けの授業動画を公開しています。塾講師時代、家庭の事情で塾に通えない子どもたちが、自宅で無料で授業を受けられる仕組みを作りたいと思ったことがきっかけです。

 小学生と保育園児の息子がいて、家でも勉強を教えています。大事にしているのは一緒に学び、考える姿勢。子どもに先生役になってもらい、ホワイトボードを使って解説してもらうこともあります。「先生、なんでこうなるんですか」なんて聞くと、息子は得意げに教えてくれますね。子どもが勉強嫌いになるのは、「できない」「分からない」ことが原因。「できた」という成功体験が生まれることで、子どもは勉強に興味を持つようになります。

子育ては「いつも見守っているよ」

 息子たちには「いつも見守っているよ」というメッセージを伝えることも意識しています。子どもが学童保育で終わらせてきた宿題も内容は必ず確認。「この漢字、うまく書けているね」など、褒めるようにしています。

 時間管理がうまくできる人ほど、人生の幸福度も高くなると思っているので、規則正しい生活も心掛けています。妻は外で働いているので、自宅で仕事をしている僕が午後5時に息子たちを迎えに行き、5時半にお風呂に入れて、9時には寝かせています。子どもたちが大好きなゲームにもルールを設けています。牛乳パックを切り取ってチケットを作り、宿題やお手伝いなどをやったらチケットをあげ、その分だけゲームができる仕組みです。息子や妻はYouTubeにあまり興味がなく、ほとんど見ませんね。

息子たちに「多様性」を伝えたい

 僕には知的、発達障害がある妹がいます。中学時代には、妹の存在を恥ずかしいと思ってしまっていた時もありました。その頃、僕はいじめに遭っていました。妹の面倒を見るため、週末の部活を休まざるを得なかったのが、いじめの理由の1つだったようです。

 母には、いじめに遭っていることを相談できませんでした。母から「妹を守ってね」と言われて頼られていたので、心配をかけたくなかったのです。僕が「学校を休みたい」と言うと、母は何も理由を聞かずに休ませてくれました。「仕事が休みだから一緒にごはんを食べに行こう」なんて、さりげなく誘ってもくれて、気持ちが楽になりました。

 息子たちは、妹がうちに遊びに来ると、突然叫ぶ姿などにびっくりしてしまうようです。でも僕にとって、妹は大切な存在。息子たちには、世の中にはいろんな人がいて、みんな一生懸命生きているということを伝えています。多様性を受け入れる子どもに育ってほしいと願っています。

葉一(はいち)

 1985年、福岡県出身。東京学芸大で教員免許を取得後、塾講師に。2012年にYouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」を開設し、小学3年~高校生向け授業動画を投稿。チャンネル登録者数は155万人。著書に「小学生の子がどんどん勉強するようになる 親のすごい声かけ」など。

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なるほど!

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グッときた

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もやもや...

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もっと
知りたい

すくすくボイス

  • たんぽぽ says:

    「ホント生きてて良かった〜」と言いながら大学生活を楽しむ我が子の姿を見て、この数年間のモノトーンの世界から眩しいカラーの世界へと一気に引き戻された母です。

    現在〈学校アドバイザー〉の役割をいただき運営側として貴重な時間を過ごしているようです。また加害生徒に出会っても「気持ちが一瞬中1の時に戻って焦ったけど、消えたい(死にたい)とはもう思わなかった。スルーできた」と。

    当時、ガラス細工かシャボン玉のような今にも消えてしまいそうな我が子の、電柱に隠れ怯え泣いてたとは思えない言葉に驚くと共に、この7年で成長し乗り越えてきたと嬉しく思います。

    証拠があっても加害者側を信じ守ろうとしている学校顧問担任には悶々とし不信感しかなかったので、中2から真摯に向き合っているフリースクールへの転校を視野にネット検索して見つけた【はいちのだらだラジオ】葉一の教育YouTube。このYouTuberに出会わなければ今の我が家の笑顔はなかったでしょう。

    しんどければ(1日くらい学校を)休んでもいい。(自分の命を守ることが1番)だから時には逃げることも必要。苦しければその場から逃げる=負けではない。ただ、どの状況でも体調不良以外ならば生活リズムはしっかりと。

    ありのままの自分を認めて、誰かと比較して悲観するのではなく〝自分らしさを大切に〟《自分のペースで生きる》ラジオで親も教わりました。

    今どこかで、涙を流しもがき苦しんでいる子供さん親御さんがいたら知ってほしい…1人じゃないとね。

    一緒に深呼吸しましょ!大きくゆっくり呼吸してぜひぜひ〝だらだラジオ〟を人生のBGMにして何時もの生活を過ごしていただきたいと思います。

    四季に合わせて、テーマによって、緊急時、色んなバージョンがあるのでね。不思議なことにいつの間にかラジオ相手に喋っている自分に気付きます…おススメです💞

    たんぽぽ 女性 50代
  • たんぽぽ says:

    1年前に我が子の姿を投稿させていただいた母です。たくさんの方々が共感し応援してくださったのか…有り難くもあり嬉しくもあり感謝の気持ちでいっぱいです👍ボタンを押してくださった方々本当に有難うございました救われました。

    我が子は高校で教師に恵まれ、苦手な数学で得意な社会と同じ評価をいただけたり、進学<就職で考えておりましたが、本人の強い意志と先生方の計らいで4月から進学することが決まり成長中です。

    当時親子共々、〝いじめ〟加害者や担任の卑怯な言動に落胆しておりましたが、我が子を信じてると庇い、担任からは馬鹿な母親と罵られたり、話し合い中馬鹿笑いされたり…

    悲しく不愉快な扱いを受けて不甲斐ない気持ちで心ポッキリ折れていたのですが、皆さんからの👍により、我が子だけでなく私自身も救われております。担任から子どもを見抜けない馬鹿親!躾が間違っていると言われたけれど〝子育ても躾も正しかった。間違っていなかった〟と胸を張って生きてもいいですよね?

    たんぽぽ 女性 50代
  • みどり says:

    「アートで魅せる数学の世界」の始めの方のページに二次方程式が出てきます。学生時代は解けていた方程式が全く解けず、ネットで調べても理解出来ない‥。でも先生のYouTubeはとても理解しやすい。本が楽しみながら読めるのが嬉しい。YouTube 作ってくれて、ありがとう。

    みどり 女性 50代
  • 匿名 says:

    初めてこの動画見たときは、何て解りやすく教えてくださるのと思い6年生の孫に直ぐ見せました。もっと早く知っていたらと思いました。母親は体調不良の母子家庭で一人っ子。先生のYoutuberになられたきっかけを知り感動しました。他の母子家庭の友人にも教えてあげました。これからもよろしくお願いします。ありがとうございます。

     女性 70代以上
  • bun says:

    発達障害の4年生の孫がいます。4年生になって両隣りのクラスが騒がしく、聴覚過敏の孫は頭痛がするようになり授業も集中して聞けなくなりました。勉強が分かないと授業も楽しくないと思います。そんな時、19chに出会いました。葉一さんの授業は簡潔で、孫にはすっと入ってくるようです。頭痛から疲れやすく、長い時間は無理ですが、葉一さんの授業で算数もちゃんと理解しているようです。塾は無理かなと思っており、どう教えていけばいいのか?と困っていましたが、本当に感謝してます

    bun 女性 60代

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