<わたしの糧ことば・特別編>1児の母・視力障害の陸上選手 高田千明さん 

(2017年9月24日付 東京新聞朝刊)
写真は1児の母で、視力障害のある陸上選手の高田千明さん

1児の母で、視力障害のある陸上選手の高田千明さん

無理はしない

 先天的な弱視で、20歳前に視力を失いました。陸上を始めたのが22歳。その後、聴覚障害のある夫(デフリンピック400メートルハードル日本代表の裕士さん)と結婚、出産しました。

 この言葉は結婚前、弱視で双子を育てる先輩ママから言われたんです。障害があっても、なくても、子育ては大変。息子が生まれてから実感しましたね。

 息子が小さかったころは、体調も戻らないし、記録も出ない、練習時間も取れない…と悩みました。具合の悪い息子を家に置いていけなくて練習を休めば「家庭を理由に辞めるのか」と言われたり。でも、夫や周りの励ましもあり、競技も無理をしないで、やるところまでやってみようと。

 リオ・パラリンピックで自己ベストを更新して入賞でき、諦めずに続けてきてよかったと思いました。東京大会ではメダルを取って、息子にかけてあげたいな。

たかだ・ちあき

 東京都出身。ほけんの窓口グループ所属。女子走り幅跳び(視覚障害T11)でリオ・パラリンピック8位、2017年7月のパラ陸上の世界選手権で銀メダル。

 

糧ことば

 人生の先輩などから言われて救われた子育てに関する言葉。共有することで、独りぼっちで悩みがちなママたちの心を少しでも軽くしたい-との願いを込め、広告会社・博報堂の「リーママプロジェクト」のメンバーが名付けた。東京新聞では2016年9月から2年間、読者から寄せられた「わたしの糧ことば」を連載。著名人による特別編も5回掲載した。

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