「抱っこした子が押しつぶされそう」「ベビーカー蹴られた」…子連れ電車利用アンケート、9割が「危険感じる」
石原真樹 (2019年2月27日付 東京新聞朝刊)
子ども連れなどで安全に移動できる社会にしたいと、都内の母親らでつくる「子どもの安全な移動を考えるパートナーズ」(平本沙織代表)は保護者にアンケートを行い、25日、結果を小池百合子知事に手渡した。「子どもが電車や地下鉄を利用している時、危険と感じることがあるか」との質問に、「ある」「どちらかといえばある」は計91.6%に上った。
ツイッター炎上がきっかけ 2週間で回答1057件
調査のきっかけは、平本さんが子どもを保育所に連れていくためベビーカーに乗せて電車通勤した時、乗客から暴言などの嫌がらせを受けたこと。昨年末にベビーカー通勤の大変さをツイッターに投稿すると炎上したことを受け、1月末に団体を発足。今月9日から2週間、インターネットでアンケートし、1057件の回答が集まった。
その結果、抱っこした子が押しつぶされそうになる、乗客がベビーカーに倒れ込みそうになるなどの体験が寄せられた。電車利用時のトラブルなどは55.4%が経験。舌打ちされたりしたほか、障害でじっとしていられない子どもが乗客に文句を言われ、「萎縮している」との声もあった。
小池知事は、都営大江戸線の一部車両に「子育て応援スペース」を導入すると説明し、「第一歩として前進させたい」と話した。
〈傍聴記〉反発や物議を恐れてはいられない
「反発や物議を恐れずに-」。代表質問で子どもや子育て世代に優しい電車や地下鉄のあり方を取り上げた増子博樹氏(都民ファ)の言葉にうなずいた。
まさに今、ベビーカー通勤の大変さを取り上げた本紙記事がネット上で議論を巻き起こしているからだ。記事の趣旨に賛意もたくさん寄せられたが、母親らが声を上げることすら認めないような批判もあった。
都は、都営大江戸線の一部車両に子育て応援スペースを導入する。「女性専用車両(の導入時)でも炎上した。『何を言ってるんだ』派が多かった気がする」。25日に母親らと面談した小池知事は、国会議員時代をこう振り返った。
現状を変えるには、反発や物議を恐れてはいられない。「首都東京の公営交通事業者として、子育て支援に貢献していく」。交通局幹部の答弁に、都の本気度を信じたい。(石原真樹)
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