崩壊寸前の保育現場 コロナ対応が追い打ち… 年度末退職に休校が重なり人手不足 「保育士を守って」
マスクだけど…楽しい気持ちで卒園させたい
「マスクをしながらですが、明るく『おめでとう』と言いましょうね」。
今月14日、東京都世田谷区の認可保育所「成城つくしんぼ保育園」で行われた卒園式で、布川順子園長が職員らに呼び掛けた。祖父母の参列は控えてもらい、保護者と29人の卒園児のみ。在園児の参加や歌なども取りやめた。入り口ではアルコール消毒をしてもらい、保護者と職員はマスクを着用した。
「感染防止対策などやることは増えた。でも、できるだけ楽しい気持ちで子どもたちを送り出してあげたい」と布川園長は話す。
都内の認可施設、職員の8割が年度末で退職
年度末のこの時期、保育所では、より良い職場環境や待遇を求める保育士が退職することがあり、人手不足に陥るケースがある。
ある都内の認可保育施設は10数人の職員の8割以上が今月末で退職するため、有休消化をする職員が増えている。小学生の子どもを連れて出勤するため限られた時間しか勤務できない職員もいる。今月は保育士3人が病気で1週間休んだ。
「職員が倒れても、保育所は開かないといけない。少ない人数で、子どもの育ちや安全は守れない」と約10年働くベテラン保育士は嘆く。
引っかきなどトラブル増加 「何もかも、ぐちゃぐちゃ」
自身も今月末で退職予定だが、有休消化や再就職先の見学を返上して出勤。担任が抜けた1歳児クラスに入ると、不安定な子どもたちは昼寝をしてくれず、引っかきなどのトラブルも相次いだ。
「子どもは10数人が1度に飛び回り『ちょっと待って』が通用しない。何もかも、ぐちゃぐちゃ」。国や自治体には「保育所も短時間開所にしたり、在宅勤務ができない親の子を優先したりするなどしてほしい。保育士を守って」と話す。
わが子は休校で自宅に 「働く親を支えるため…」にモヤモヤ
小学生の長女を自宅で留守番させながら横浜市の保育所に出勤する女性保育士(40)も「人の余裕がなかったところに、新型コロナ、年度替わりで今、職員は本当に疲弊している」と訴える。
勤務のため自宅を空けるのは午前8時半から午後7時まで。「働く親を支えるために出勤しているけれど、自分は家に子どもを置いたまま。モヤモヤする気持ちがないといったらうそになる」とジレンマを口にした。
〈反響に応えて〉「コロナで崩壊寸前の保育現場」にコメント多数「保育士は誰が守ってくれるの?」厚労省と東京都に声を届けました
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