音喜多駿参院議員 妻も議員でお互い多忙…完璧な子育てを目指すよりシッターや家事代行で合理化〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉
一番大事なのは、無理をしないこと
今回リレーコラムのバトンを受け取った参院議員の音喜多駿です。前回コラムを担当された中谷一馬衆院議員からこんな質問を頂きました。
「夫婦で議員を務めながら3人の子どもを育てるというのは並大抵のことではないと思いますが、SNSを見ていると公務・党務・政務に多忙を極めながらも、家事育児をしっかり行われているという印象があります。どうやって時間を捻出して仕事とプライベートの両立をしているのか、教えてください。また、家族の仲がとても良さそうに見えるので、家庭円満の秘訣などがあれば是非教えてください」
ご紹介があったように、うちは妻が東京都江東区議会議員で、14歳、6歳、1歳の3人の子育て中です。ご質問にお答えすると、実はそんなに完璧にやっているわけではなくて(笑)。あまりにも完璧を追求すると苦しくなってしまうんじゃないかなと思っているんです。僕が子育てで一番大事だと思っているのは、無理をしないことです。隣の芝生ってどうしても青く見えると思うんですが、だからこそ自分なりのやり方を見つけ出して、マイペースにやることを心がけています。
夫婦の間できっちり役割分担をしているわけではないのですが、例えば僕は夜が遅くなりがちなので、朝の息子(1歳)の保育園への送りはできるだけやるようにしています。先日、参院予算委員会で質問した日も、その前夜に原稿の最終見直しで帰宅の終電を逃してしまい、夜なべになってしまったんですが、それでも明け方にシャワーだけ浴びに帰宅し、息子を保育園に送りました。保育園は8時からやってくれているので、8時に預ければ委員会にはギリギリ間に合うんです。息子を送った後は、永田町に移動しながら、朝の党の部会にオンラインで出席しました。
もちろん僕も日々大変ではあるんですが、圧倒的に妻の方が家事・育児の負担が重くなってしまっているので、「やれることはとにかくやらないと」という気持ちにかられてやっています。もうちょっと時間があれば、6歳の次女の幼稚園バス送りもやれるんですけど、幼稚園バスが迎えに来てくれるのを待っていると、委員会には完全に間に合わない。なので、息子の送りだけで勘弁してもらうことが多いのが実情です。
ベビーカーを押しながら部会に参加
党(日本維新の会)の部会は原則、オンラインでの参加でもいいということになっています。なので朝は、息子のベビーカーを押しながら参加することもあります。片耳にイヤホンをつけながら、保育園の先生に連絡事項を伝えつつ、の参加です。実際に子どもを会議や国会内の控室に連れて行ったこともありますが、誰からもとがめられず、幹部が子どもを抱っこしてくれたりしました。
うちの党では少なくとも、僕が参院議員になった2019年以降では、子どもを連れて行って「ダメだ」とか「連れてくるな」とか言われたことはないですね。子どもにとっても職場をたまに見るのはいいことでしょう、と。うちの次女もやむを得ずに議員会館に連れてくることがありますが、食堂でハヤシライスを食べる楽しみを見つけてくれたみたいです。
この部屋(会館の自室)には実はベビー用のハイローチェアもあるんです。これは今1歳の長男をどうしてもこの部屋で見なければいけない時に使っていたもので、妹からもらいました。コロナ禍はやはり一番厳しかったですね。衆院議員会館にある保育園が、一時保育の利用を中止していたので、やむを得ずこの部屋でお世話をするということが時折ありました。ただ正直、ここに幼児や赤ちゃんがいると仕事にはならないです。やっぱり子連れ出勤は難しい。やれといわれればやりますが、生産性は明らかに低いのは間違いない、と実感しました。
一番下の子がハイローチェアに揺られていた時期からすると、1歳になって夜泣きが少なくなっただけ楽にはなりました。0歳の時は夜中も2時間に1回泣いて授乳して、朝仕事に行って、夜帰ってくるとまた泣く……の繰り返し。大変でした。今は、当時と比べたら僕も眠れるようになりました。
実は先日、1人でマラソンに行ってきました。冒頭でも触れましたが、僕が子育てで一番大事だと思っているのは、無理をしないことです。まずは自分が心身健やかでないと、子育てもできない。そこは家族で相談しながら互いにリフレッシュする時間も大切にしています。今回のマラソンは、受け付けが前日にあることもあって2泊3日になってしまい、家族からはちょっと白い目で見られましたが……。
その代わり、妻が議員としてどうしても行きたい視察には、遠方でも僕がワンオペをして送り出します。さらに今度14歳の長女がダンスの米国大会に出ることになりまして、それには妻が付き添って米国に行き、その間、僕が下の2人を見ます。そこはお互いにバランスをとりながらやるっていうことですよね。妻の方が我慢している時が多いと思いますが……(苦笑)。
シッターさんと家事代行に助けられて
それから、我が家はシッターさんや家事代行サービスは積極的に使っています。子どもの面倒は常に親が見なきゃいけないとか、愛情弁当を作らなくちゃいけないとか、そういう強迫観念は、少なくとも僕には一切ないんです。妻は頑張ってお弁当を作ったりもしていますが、僕がワンオペの時は、好きなおにぎりや好きなパンをお店で買って、それをお弁当箱に入れて、ぎゅっと包んで、それでおしまいです。手を抜くところは抜いた方が、双方にとって幸せじゃないかと思うので、その辺りは合理的にやらせてもらっています。
シッターさんは今、週4日来ていただいています。18時~21時の間に、お迎えから、夕食サービスのピックアップ、自宅に帰って夕食、入浴を済ませ、下の子を寝かしつけてもらうというのがパッケージです。以前は大手のシッターサービスでお願いしていて、前日でも手配してくれて、とにかく楽で、質も高くて良かったんですが、一度月40万円までいってしまったことがあって…。さすがにこれは持続可能性がないと思い、昨年から個人のシッターさん3人にお願いするようになりました。
シッターさんたちと僕たち夫婦のLINEのグループをつくって、「来週〇曜日に来られる方はいますか」と投げかけて、来られる方に来ていただく。そういうチームを組んでリーズナブルに対応していただく仕組みを使っています。今は僕か妻のどちらかが21時までに自宅に帰ればいい。以前は仕事が入る度にお願いするようにしていましたが、それもお互いに急に予定が入るので大変で。結構なストレスになっていました。それで割り切って、あらかじめ週4日はお願いするようにしたんです。そうすれば、急な夜の残業や会食があった場合でも対応できます。
もう一つ普段から利用しているのは夕食サービス。各エリアで類似の業者さんがいると思いますが、うちが使っているのは、スマホに送られてきた献立を見て注文すると、QRコードが送られてきて、これを最寄りの専用ステーションで見せて受け取るというサービスです。これだと主菜、副菜、スープもののセットになっているので、ご飯さえ炊けば栄養バランス良く食べられる。手作り、外食とうまく組み合わせてまわしています。
「あの時の保育園の…」運命の出会い
余談を少し。シッターさん3人のうちのお1人は、保育園の園長もやっていたベテラン保育士さんで、もう一線を退いたということで引き受けてくださっています。実はその方は、以前に妻がシングルマザーだった時に、どうしても預け先が見つからなくて、最寄りの保育園に電話して泣きながら相談していたそうなんですが、その保育園の園長さんだった方なんです。
当時、その園自体には入れなかったんですが、いろいろと相談に乗ってくれたそうで、妻本人もブログで、議員になったきっかけのエピソードとして、「すごく親切にしてくれた人がいて、私もそういう人になりたいと思った」といった内容を紹介していたんですね。そして去年、僕たちがシッターさんを探していた時に、その園長先生だった方が「実はあの時の園長が私です」と連絡をくれて、シッター募集に手を挙げてくださった。
妻のブログを読んでいてくれたそうで、「あの時は何もできなかったけど、今は力になれると思って」と応募の動機を話してくださいました。なんと運命的で、幸運な出会いなのだろうと思っています。子どもたちもすごくなついていますし、人生の先輩として妻の相談にも乗ってくださっていて、家族にとって本当にありがたい存在です。
良い親であり良い政治家。その両立は実際難しいですし、妻の方は特に不満が溜まっているかもしれませんけど、ただ僕はこうやって、ある程度は完璧を目指さずに、合理化できるところは合理的にやった方がいいと思っています。
もちろん僕がワンオペ中で仕事の話があっても行けない、ということはあります。だから悔しい思いというのはゼロじゃないですよね。それはもう働く人誰しもが抱えている悩みだと思います。その上で、気持ちよく仕事をして、仕事の成果も出して、家のことはシッターさんや家事代行サービスとかでお願いできるところはお願いするというバランスの取り方がいいだろう、と。そうやって、子育ても仕事も楽しませてもらっています。
最後に、最近の僕のこだわりです。上の子2人が大きくなってきたので、みんなで一緒もいいですが、あえて一人一人との時間を大切にするようになりました。この間も長女とデートに行きましたし、次女がずるいずるいと言うので、その後次女とも2人で出かけました。その時は、息子は小さいので妻に任せて。個別に分散して時間をつくるのは大事だな、と思いましたね。子どもたち一人一人違いますし、それぞれの時間もあるので、個別の時間をつくって、家族全体のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を上げていくという。家族それぞれとの理解を深めていくということを意識していますね。
上の子も思春期を迎えて、かつ僕とは血の繋がりもないですけど、そういうコミュニケーションを取ってきたからこそ今もまだ反抗期もなく、パパと洗濯物を分けてくれと言われるわけでもなく(笑)むしろ洗濯しといてって渡される、みたいな。比較的良好な関係を築けているんだろうとは思いますね。
次にバトンを渡す中野洋昌議員に質問です。子育てと仕事が両立できなかったり、妻と喧嘩をしてしまったり……どうしてもうまくいかなかったり、罪悪感を覚える瞬間が誰しもあると思います。多くの人がそういう失敗談こそ聞きたいのではないかと思うのですが(!?)、子育ての失敗談や、実は後ろめたさを感じている瞬間などはあるでしょうか? ぜひ教えてください!
音喜多駿(おときた・しゅん)
参院東京選挙区、当選1回、日本維新の会。1983年東京都北区生まれ。早稲田大政治経済学部卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社での勤務を経て、2013年東京都議会議員(2期)。2019年7月の参院選で初当選。2021年衆院選の日本維新の会マニフェストづくりで中心的な役割を担った。2023年4月の統一地方選に際しては、子育て中の候補者に対し選挙までの期間でシッター代などとして40万円を支援する政策を立案。妻と中学生の長女、小学生の次女、1歳の長男と5人暮らし。
(構成:政治部・坂田奈央)
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
週4日個人のシッターさんにきていただいているというところが印象に残りました。私も産後ドゥーラさんを利用したことがあり、本当に助けられました。ただ、生後4か月までの制度でしたので、良いシッターさんを見つけるコツが知りたくなりました。何度かベビーシッターさんサービスを利用したことがあるのですが、子供が大泣きして少しかわいそうになってしまう瞬間もあります。三人のお子さんの子育てと議員活動、どうぞ頑張ってください。