保育士の配置基準76年ぶり見直し、それでも「まったく足りない」現行の2倍を求める政策提言
奥野斐 (2023年12月13日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
「もう1人保育士を!」会見
保育士1人がみる子どもの人数を定めた国の配置基準を巡り、全国の保護者や保育士らでつくる「子どもたちにもう1人保育士を!」のメンバーが12日、東京都内で記者会見し、国への政策提言を発表した。政府は11日、来年度から4~5歳児の基準を76年ぶりに見直す方針を公表。現状は「まったく足りない」として現行の約2倍の配置を要望した。
世界のスタンダードから比べると…
提言では、保育士1人がみる4~5歳児の数を「30人」から「25人」に減らす政府の見直し案に対し、「10~15人」に改善することなどを求めた。
会見したメンバーで愛知県内の保育士の田境敦さんは「経済協力開発機構(OECD)の国際比較からも、3歳以上の子どもでは1クラスに多くても15人、保育者は少なくとも2人が世界のスタンダード」と指摘。保育事故や不適切な保育の要因の一つが、今の劣悪な配置基準だとして「子どもの命と権利を保障するために配置基準の抜本的改善が必要」と強調した。
8割が「不適切保育」の不安を抱える
グループが全国の保護者に実施したアンケートでも、回答者7316人の99.7%が現在の保育士配置を「不足」と感じていると答えた。
保育士らへの不適切保育のアンケート(回答者4018人)では、「自らも『不適切な保育』を起こしかねないと思うか」との問いに「いいえ」は23%で、約8割が起こしかねない不安を感じていた。必要な対策では配置基準改善が94%に上った。
保育士の配置基準
保育士1人で受け持てる園児数で、1948年に国が定めた。1998年に0歳児「6人」を「3人」に改善してから変わっていない。現在は1・2歳児6人、3歳児20人、4・5歳児30人となっている。保育所に支給される人件費に、この基準が反映される。
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