保育中のけがで病院受診 園が立て替える?親が支払う? マイナ保険証で不便になると知って調べてみたら…
「保育園で病院受診をした際、後日保険証・医療証をお預かりしていました。この度保険証の新規発行停止に伴い、マイナンバーカードはお預かりすることができないため、今後保護者の方に病院へ返金手続きを行っていただくことになります」
どういうことか、調べてみた。
受診の多いわが家は影響が大きい
活発な長女(3)は、保育中にけがをすることがままある。昨年は、友達とジャンプして遊んでいたところ友達の指が目に当たったり、公園のくだり坂を勢いよく走って転びおでこを切ったり…。「顔のけがは心配だから」という園の方針で、毎度職員が子どもを病院に連れて行ってくれた。
乳幼児は医療費助成で、保険証と医療証があれば診察代はかからないが、いずれも普段は家にある。翌日、先生に2つを預け、園が再び病院で返金手続きをしてくれるという流れだ。
家で同じようなけがをしても、恐らく病院に連れて行かずに様子を見ると思う。忙しい中受診し、丁寧に医者の説明を伝えてくれる先生方には本当に感謝している。今月6日にも、また友達の指が目に当たって受診。正直大したことないだろうと思っていたが、医師は「目に傷がある」とのことで目薬と軟こうを処方された。顔のけがで受診をするのはやっぱり大事なのかと思い直した出来事だった。
子どもの通う園が特別に手厚いのかと思っていたが、荒川区保育課によると、保護者の負担を考え、公立園は一律に同様の対応をとるよう呼びかけているという。(私立園は、公立園の方針を知らせた上で各園の判断だが、娘の園はこまめに受診してくれる)。
保育課は昨年10月、保険証の新規発行停止を前に、国へ「マイナ保険証を保護者から預かってもいいか」と問い合わせた。「保育園で特定個人情報を預かってはいけない」との回答だったという。そこで今月、マイナ保険証は預からず、今後は保護者に精算に行ってもらうという方針を決め、公立園へ周知した。保育課長は、「保護者の負担を考えると心苦しいのですが…」と声を落とす。
休みの日に混んでいる医療機関に精算のためだけに行くのはわずらわしい。そこで、保険証の有効期限が切れる12月1日までマイナンバーカードとひも付けず、その代わりに送られてくる「資格確認書」を園に預ければいいのでは?と考えた。しかし荒川区は、マイナ保険証と「同等の扱いをする」方針だ。娘の園の園長も「ひも付けした人とそうでない人で対応を分けるのはどうか…」と後ろ向き。マイナ保険証を作った人の方が「損」になってしまうわけだから、マイナ保険証を勧める行政としては一律の対応をということなのか…。
保護者が精算する区が多かった
他の区の対応はどうか。多くの区はもともと、保護者が受診に付き添うか、仕事で行けなくても夕方には医療証と保険証を持って精算に行くことになっている。医療機関によるが、保護者が来るまで精算を待ってくれたり、園が立て替えたりして対応。ただ、共働きで忙しい保護者に精算に行ってもらうことに「苦慮している」という区もあった。
世田谷区も、「保護者と一緒に受診するのが基本」とした上で、仕事を抜けられない場合は職員のみで受診する。あらかじめ保険証と医療証のコピーを預かっており、それらを見せて園が立て替える。最近は、コピーがあっても後で原本の提出を求める医療機関が増えているそう。後日保護者が払い戻しを受け、園に返す。保険証の発行停止に伴い、「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」のコピーでも医療機関にこれまでと同じ対応をしてもらえないかとお願いしているという。
23区全てを取材できたわけではないが、改めて各区の保育園での病院受診時の対応がさまざまで、荒川区は特に手厚かったのだと分かった。とともに、マイナンバーカードの普及には理解があるつもりだったが、健康保険証がなくなるデメリットを初めて実感した。
マイナ保険証
厚労省は、マイナ保険証のメリットとして、薬の履歴や過去の健診情報の提供に同意すれば、医師からより適切な診断や投薬の処方を受けられると説明。高額な医療費が発生する場合でも、一時的な窓口負担がなく、書類申請の必要もなくなるという。
マイナ保険証を作っていない人は、代わりとなる「資格確認書」という証明書が交付される。申請は不要。現行の保険証の有効期限が切れる前に、加入する健保などから無償で届く。病院や薬局に資格確認書を提示すれば、今まで通り受診できる。
なるほど!
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