「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」が熱い! 出版社の垣根を越えてランキング 来年5月に第2回
編集、営業、宣伝…6社から20人が集結
「若いお母さんに総選挙が始まることをインスタグラムやツイッターで知らせては」「おじいちゃん、おばあちゃんが子どものころ、どんな本を読んでいたのか紹介してみたら?」「東京だけで盛り上がらず、地方ともコラボを」
5月下旬の夜、東京都千代田区にあるポプラ社の会議室で、熱い議論が交わされていた。「こどもの本総選挙事務局」の2回目の会合に集まったのは、ポプラ社のほか講談社、集英社、世界文化社、高橋書店、ブロンズ新社の社員約20人。編集者もいれば営業、宣伝の担当者もいる。
ライバルはゲーム、SNS、ドッジボール
総選挙は同業者に刺激を与えた。ポプラ社も自社だけのイベントにしたくないという思いがあり、同じ志を抱く人に参加を呼び掛けた。事務局はNPO化して秋にNPO法人の設立を目指し、来年5月5日に第2回の総選挙を予定している。
活字離れといわれるが、小学校では読書を推奨しており、児童書は落ち込んでいないという。ただ学年が上がると、例えば男の子は休み時間は校庭に飛び出す「ドッジボール男子」になってしまう。ゲームや会員制交流サイトなどライバルも現れる。
第1回総選挙の中心となったポプラ社の岡本大さん(28)は「子どもたちは、すごく本を読んでいる。そのまま本への興味を持ち続けてほしい」と願う。第2回の目標は、前回を超える投票数だ。
子ども版「本屋大賞」に… ポプラ社&講談社のキーマン2人に聞きました
若手ながら事務局の中核を担うポプラ社の岡本さんと、講談社から参加した編集者の川崎萌美さん(30)に児童書の魅力、総選挙への意気込みを聞いた。
こどもの本総選挙はポプラ社の創立70周年記念事業として企画された。イメージしたのは子ども版「本屋大賞」だった。
川崎さんは「講談社も同じような企画を考えていたので、もし次があるなら一緒にやりたい、これは1社だけの企画ではないと思いました」と話す。岡本さんも「児童書に関わる人たちが集まってNPO法人を目指すのは業界になかった試み」と、前回以上の盛り上げを誓う。
総選挙は書店や図書館からも歓迎された。テレビで「これが1位の本です」と紹介されれば、今まで図書館に来なかった子どもが足を運んでくれる。お目当ての本が貸し出し中でも、他の本と出会う機会になる。
「児童書の編集をしていて感じるのは、子どもの本の自由さ。大人の本と違ってサイズも仕様も決まっていない」と岡本さん。入社以来、児童書一筋の川崎さんも「大人になると読む本のジャンルが分かれてくるけれど、子どもは何でも読んでくれる」。「1年生向け」など人生の一時期だけにぴったりくる本があるのも大人の本にない特徴だ。
自身も読書少女だった川崎さんは「せっかく会社を超えて集まれたので、『子どものために』を忘れずにやっていきたい」と力強く語った。
◇第1回「こどもの本総選挙」上位10冊
1位 | 「ざんねんないきもの事典」今泉忠明(高橋書店) |
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2位 | 「あるかしら書店」ヨシタケシンスケ(ポプラ社) |
3位 | 「りんごかもしれない」ヨシタケシンスケ(ブロンズ新社) |
4位 | 「続ざんねんないきもの事典」今泉忠明(高橋書店) |
5位 | 「おしりたんてい かいとうVSたんてい」トロル(ポプラ社) |
6位 | 「おしりたんてい いせきからのSOS」トロル(ポプラ社) |
7位 | 「このあとどうしちゃおう」ヨシタケシンスケ(ブロンズ新社) |
8位 | 「ぼくらの七日間戦争」宗田理(KADOKAWA) |
9位 | 「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」廣嶋玲子(偕成社) |
10位 | 「りゆうがあります」ヨシタケシンスケ(PHP研究所) |
ランキングの詳細と小学生のコメントが、「小学生がえらぶ!”こどもの本”総選挙」特設サイトで紹介されています。
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