新型コロナウイルス、親が気をつけたいポイントは? 小児科医に聞きました

 新型コロナウイルスの感染が広がっています。国内でも子どもの感染が確認され、不安を感じている人も多いと思います。「ウイルスは耐熱性がなく、26~27度の温度で死ぬため、お湯を飲ませれば予防できる」といった誤った情報もSNSなどで拡散されています。子を持つ親として、事態にどう向き合えばいいのか、神川小児科クリニック(東京都大田区)院長の神川晃(かみかわ・あきら)さんと、保坂こどもクリニック(文京区)院長の保坂篤人(ほさか・あつと)さんに聞きました。
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神川小児科クリニック院長の神川晃さん

防ぎきるのは難しい まずは手洗い・食事・睡眠を

―ずばり、子どもの感染を防ぐにはどうしたらいいでしょうか。

神川晃さん 新型コロナウイルス感染症は、ウイルス性の風邪の一種です。風邪は不顕性感染(ウイルスに感染しても症状が出ない)が多く、気づかないうちに感染してしまう。つまり、防ぎきるのは難しいのです。

 家庭でできることとしては、手洗いを確実に行い、栄養バランスの取れた食事、しっかり睡眠を取ること。せきが出る場合は、マスクをすることが大事ですが、マスクがなければ、ハンカチやティッシュを口に当てて、ティッシュはすぐに捨てるように子どもに教えてほしい。ただ、幼児にはなかなかできないかもしれませんね…。


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 消毒用アルコールが手に入らない場合は、台所用漂白剤を薄めて、ドアノブや手すりなど、帰宅後に触れるものを拭いてください。もちろん、肌には使えません。

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まずは手洗いが大事です

基本はインフルと一緒 でもまだワクチンも薬もない

保坂篤人さん 基本的にはインフルエンザと一緒と考えてください。ただ、新型コロナウイルスには、今のところワクチンも治療薬もありません。外出先でもこまめに手を洗い、帰宅したら手だけではなく、顔も洗います。皮膚の脂や汚れに付いたウイルスを洗い流すのには、せっけんは有効ですが、せっけんで顔を洗うのを嫌がる子どもに無理はさせなくていいでしょう。

図解 新型コロナウイルス 子どもの感染防止策

 すでに、誰が感染しているか分からない状況になっています。うちの病院では、せきが出る子にはマスクをしてもらっています。せきが出る子は園や学校をお休みして自宅待機というのも、一つの方法ではないでしょうか。うつさない、うつらない、両方の対策が必要です。気管支ぜんそくのお子さんは、季節の変わり目でもあり、発作が出ないようにこれまで以上にしっかり投薬などの治療をしてほしい。

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保坂こどもクリニック院長の保坂篤人さん

保育園は休園に? 文科省・厚労省が基準を示すべき

―幼稚園や保育園、学校に求められることはなんでしょうか。

神川 公開授業や観劇など、不要不急の集まりをしない。これから卒業シーズンだが、現場に判断を任せると「隣町は卒業式をやったけど、うちはやらないのか」という不満も出かねません。自治体によっては、1人でも感染者が出たら休校という措置を取っているところもあるが、保育園はどうするのか。現場任せにせず、文部科学省や厚生労働省がきちんとした基準を示すべきです。

一般の診療所はウイルス検査できず…ではどうする

―感染の疑いがある場合の相談先として「帰国者・接触者相談センター」がありますが、国は相談の目安を「37.5度以上の熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」としています。今は先生の病院に行っても診てもらえませんか。

保坂 現在は、一般の診療所ではウイルス検査ができません。熱やせきが出たからとすぐに病院に行ったら、逆にインフルエンザをうつされてしまう可能性もあります。発熱した場合は、インフルエンザの検査で反応が出る「発熱後12時間以上」たってから受診し、検査で陽性なら治療薬をのむ。陰性なら2、3日は自宅で様子を見てほしい。

日本小児学会で「Q&A」を作りました ぜひ参考に

―「お湯を飲むと防げる」という不確かな情報も出回っています。正しい情報はどこで得られますか。

神川 「おかしいな」と思う情報に接したら、国の機関などのホームページで確認してください。日本小児科学会では2月12日現在の情報を基に、「子どもは重症化しますか?」「母乳は控えた方がいいですか?」などの質問に答えるQ&Aを作成しました。参考にしてください。厚生労働省や国立感染症研究所のリンクも紹介しています。

保坂 のどの奥に付いたウイルスは、うがいでも取り切れないので、温度はともかく、少量の水か、殺菌効果があるとされるお茶を飲むのは良いでしょう。ウイルスが胃に到達し、胃酸で殺す効果が期待できます。大量に飲むと胃酸が薄まってしまいます。

 ※インタビューは2月25日夕方に行っており、今後の状況の変化により国や医療機関の対応などが変わることもあります。最新の情報に注意してください。
【2020年2月28日 追記】日本小児科学会のQ&Aが2月27日現在の情報に更新されました。
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  • 匿名 says:

    発熱が無く平熱の場合には、感染していないと考えて良いのでしょうか?

      
  • 匿名 says:

    マスクには種類があり、用途も異なります。
    感染予防の為にマスクを着用したい場合は、予防用のマスクでなければ、あまり効果はありません。
    マスクの用途を、良く確認するようにして下さい。

      
  • 匿名 says:

    何より子供達の健康が大事!だがストレスも返って良くない!晴れた日は余り人が密集してない広場や公園で思いっきり暴れさせている!
    まあそれが出来ない家庭の子供達は、かわいそう!大人達がしっかり考えて上げなければならない!

      
  • 匿名 says:

    主婦自身がコロナに感染したなら、食事は作ってよいのでしょうか?

      
  • 匿名 says:

    外出自粛なのに、塾や習い事はあったり、交通機関は通常通りだったり人との接触は避けられない環境に矛盾を感じています。
    子ども達を預かる場所は全て休講にしてほしいです(保育園、小、中、高)。小学校では完全に休講にせず学年ごとの登校を決断したところもありますが、集団での学びに不安を感じています。親達の行動範囲が分からないため、子どもが保菌して、新学期の集まりで学校現場で、広がる可能性が出てくるかもしれません。
    教育の前に、まずは命が大切なので子どものことを思うのであれば中途半端な自粛はやめてほしいです。
    自主規制で身を守るしかないのでしょうか?日本は、あまりにも考えが甘い気がします。ゴールデンタイムの時間帯はロケ地にいく旅番組や危機感のない放送ばかりで、海外のような生きるか死ぬかの瀬戸際に対してどこか目をそらしているような感じです。

      

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