夏休みはひたすら漫画の次男 ここまでくると感心する〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
朝6時過ぎ。僕が四男に起こされる頃には、次男はベッドに寝転んで、もう漫画を読んでいる。
昼、「ごはんできたよ」と妻がみんなを呼ぶが、いつも次男だけが食卓にこない。様子を見にいくと、次男はベッドに寝転び、くすくす笑って漫画を読んでいる。目の前で手を振るまで気づかない。
「待って、もうすぐだから」と必ず懇願してくるが、キリがないので漫画を取り上げて連れていく。昼ごはんを食べ終わると、次男はベッドに戻り、また読む。
夕方、薄暗くなった部屋で、まだ読んでいる。「目悪くなるで」と言って電気をつけると、はじめて気がついた、といったふうにこっちを見て、「ありがとう」と言うかわりに「にこっ」とだけして、また漫画に戻る。
僕は次男の横に腰掛け、「そんなにおもしろいの?」と聞くと、「そらおもしろいよ。夏休みはずっと読めるから最高だよ」と表情までつけて答える。それで、「パパ、今そこ冷やしてるから温めないでね」と言われる。
一カ所に居続けるとベッドが暑くなるので、常に涼しい場所を求め、家族のベッドを遊牧民のように転々と移動しながら読んでいる。シーツをぐっちゃぐちゃにして、読んだ証しのように、漫画本を片付けないで置いていく。
「漫画ばっかり読んでないで宿題しなさい」と妻に怒られる。言われてすねて半べそかいて、また読んでいる。
ここまでくると感心する。これが正しい夏休みの過ごし方、かもしれない。この日、僕のベッドでは「天才バカボン」の7巻と9巻を読んだらしい。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。12歳、9歳、5歳、1歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
うちの次男にも見習ってほしいです!
活字を読んでくれー!
そんな毎日をすごしたい。