みんなの駄菓子屋に「感情図書館」を作ろう 子どもの悩みに寄り添う1000冊 足立区で来年2月オープンへ

三宅千智 (2023年12月19日付 東京新聞朝刊に一部加筆)

資金をクラウドファンディング

 東武伊勢崎線西新井駅近くの関三通り商店街(足立区)の一角に駄菓子屋がある。子どもたちの居場所にしようとNPO法人が運営する空間だ。そこに来年2月、図書館がオープンする。子どもの感情に寄り添う多彩な本を紹介する「感情図書館」。法人は、本を1000冊購入する資金や店舗改修の費用など計270万円をクラウドファンディングで募っている。

写真

駄菓子屋irodoriには学生ボランティアが常駐し、奥のフリースペースで子どもたちが自由に遊ぶことができる(いずれもChance For All提供)

学生ボランティアが感じたもどかしさ 

 手がけるのは、足立区、墨田区の両区で民間学童保育を運営するNPO法人「Chance For ALL」(CFA)。2021年7月に同商店街の店舗を借りて駄菓子屋「irodori(イロドリ)」を開設。学生ボランティアが常駐し、フリースペースも併設し、子どもたちはお菓子を買うだけでなく自由に出入りして遊ぶこともできる。年間で延べ2万人以上が来場するという人気ぶりだ。

 ボランティアの1人、法政大4年の増山遊斗さん(23)によると、周囲に頼れる人がおらず、悩みを抱える子どもも少なくない。家に帰っても親がおらず、駄菓子を夜ごはんにする子や、ボランティアの学生を独占したくてはさみを振り回す子もいたという。

 増山さんは「子どもたちの家庭環境になかなか踏み込みづらく、適切なアドバイスも難しい。もどかしさを感じることもあった」と明かす。

モヤモヤを解きほぐす手助けになれば 

 子どもたちが、先人の人生や知恵が詰まった本を通してモヤモヤや悩みを解決する手助けになればと、今回、図書館の開設を企画した。

写真

「勇気を出したい」「自分の居場所がない」…感情別に分類した本のイメージ

 自分に合う本を手に取りやすいよう、「前向きになれる」「イライラするとき」などの感情別に本を分類して棚に並べる。返却期限は設けず、その場で読んだり家に持ち帰ったりできる。

 今後、図書館司書の助言などを基に本を購入、分類する。増山さんは「子どもたちが新しい世界や自分と出会えるよう、あらゆる本をそろえたい」と意気込む。クラウドファンディングは28日まで専用サイト「CAMPFIRE」で『頼れる人が周りにいないこどもたちへ、小さな希望を届ける「感情図書館」を作りたい!』として実施中。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年12月19日

0

なるほど!

0

グッときた

0

もやもや...

0

もっと
知りたい

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

/1000文字まで

編集チームがチェックの上で公開します。内容によっては非公開としたり、一部を削除したり、明らかな誤字等を修正させていただくことがあります。
投稿内容は、東京すくすくや東京新聞など、中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ