育休取れたはいいけれど、復職後も子育てと向き合うには 父親も柔軟な働き方を模索〈みんなでもっと男性育児〉

加藤祥子 (2025年11月6日付 東京新聞朝刊)
 男性の育休取得率が4割を超え、育児に積極的な男性が増える中、仕事との両立が課題となっている。子どもとの時間を大事にするために、リモートワークや在宅勤務など、柔軟な働き方ができる職場に転職する人もいる。
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転職して、自宅で仕事し「子どもと真剣に向き合えるようになった」と話す男性=横浜市で(本人提供)

転職先はリモートでも寝かしつけ後に…

 子どもたちがご飯をよく食べるようになった。「抱っこ」を表す言葉も「あっちょ」だったのが、ちゃんと言えるようになった。スポーツジムなどの会員管理システムの開発企業に転職した横浜市の男性(34)は、夕方にはほぼ仕事を終えられるようになり「子どもの成長を見逃すことがない」と満足げだ。ただ、現在の仕事と生活のバランスにたどり着くまでには、時間がかかった。

 鉄道会社の広報だった2022年に第1子が誕生。休みなく輸送する仕事柄、土日にも業務が。平日は定時で帰ろうとしたが、仕事に主体的に関われないような気がして悩んでいた。

 23年にリモートで在宅勤務できる会社に転職。だが業務が多く、子どもが寝てからも仕事をするように。第2子も生まれ、子どもといても仕事のことを考えるようになり、再び転職を考えた。今年から勤める現在の会社の業務量は前の会社の6~7割ほど。同僚は全員子育て中で、夕方以降の会議はない。「子どもに真剣に向き合えるようになった」とほっとする。

管理職が忙しく、夜の会議がない企業へ

 IT関連企業に勤めていた東京都内の男性(37)は今年、人事労務関連のソフトウエア開発会社へ転職。課長になって業務が増えたのがきっかけだった。

 同僚が残業する中、男性は午後6時に子どもを保育園に迎えに行くため退社。夜中に残業したが、焦りを感じた。同時に、仕事後に飲みに行く先輩を見て「このままいくと、そうなるのか」との危機感も抱いた。

 妻は転職に反対し、決意するまでに半年。第2子が生まれる時期に活動を始めた。現在の会社はリモート勤務が中心で、夜の会議もない。「子どもとくつろぐ時間もできた」と話す。

7割の男性が子育てとの両立を希望

 育児との両立を目指し、働き方を見直す動きは男性にも広がっている。転職サービス運営会社「XTalent」は5月、仕事と育児のバランスなどについてのアンケートを実施し、男性264人が回答。「仕事と育児を両立したい」と答えた割合は約70%。両立しやすい環境を求めて転職や部署異動をしたと答えた人は30.3%。それらを考えたことがある人まで含めると約60%に上った。

 同社によると、転職サービスの利用者はこれまで9割が女性だったが、ここ数年は男性が4割ほどに。代表の上原達也さんは「企業側は男性が育休を取る時代との認識はあるが、復帰後も男性には育休前と同じような働き方を期待する。社員側からは『(自分が)求めている働き方ではない』との声も聞く」と話す。

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