フルタイムで働く私に家事・育児が偏りがち どう改善したら?〈宮里曉美の子育て相談〉

(2024年7月23日付 東京新聞朝刊)

夫は残業に出張 両立に性別は関係ないはずだが…

 仕事が好きでフルタイムで働きながら子育てしています。夫は残業に加えて出張もあり、子どものお迎えをはじめ家事、育児が私の方に偏りがち。仕事と家庭の両立に性別は関係ないはずですが現実は違います。どこから改善したらよいでしょう?(2歳長女、30代母親)

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イラスト・永須華枝

切り抜ける魔法は「完璧じゃなくていい」

 いただいた質問で、一番いいなと思ったのは「仕事が好きで」という気持ちを最初に表現されていることです。その今の気持ちをどうぞ大事にしてください。

 私も仕事が好きで、それを続けて今に至ります。「子どものことについて考える」ことを仕事にしてきました。子どもたちと直接触れ合ったり、研究という形で子どもに思いを巡らします。年月を重ねる中で、仕事の内容や立場はずいぶん変わりましたが、「好き」という気持ちは変わりませんでした。

 この「子育て相談」で、さまざまな質問をいただけるのも、仕事を続けてきた縁からだと思うと感謝の気持ちでいっぱいになるのです。「仕事が好き」は生涯にわたって、あなたを支えてくれるはずです。

 そのあなたに今、親という役割が加わりました。仕事に邁進(まいしん)する自分と、親としての務め、そこに「家事をほとんど担う」という状況が加わり一人三役です。大変でないわけがありません。この困難な状況をどこから改善するか。切り抜ける魔法があるとしたら、まずは「完璧じゃなくていい」ということです。

 仕事と家事、育児のどれもが中途半端になると嘆く声を聞くことがあります。振り返ると、私はそのように思ったことはありませんでした。もともと、完璧にやろうという思いがなかったこと、自分にとって大事なことはどれも手放したくないと思っていたからでしょう。

 「完璧じゃなくていい」という思いで、まず自分を盛大に誉(ほ)めてみませんか。「私、よく頑張ってる。今日もなんとか切り抜けた!」と。次にわが子を褒めます。「ほっぺたがふわふわしていてかわいい。ニコッて笑った。今日も元気でいてくれた」とか。そして、心に余裕があったら、残業と出張が続いているパパのことも、何かを見つけて誉めてあげてください。あなたならきっと何か見つけられるはずです。

 子どもは育っていきます。きっと、あなたを助けてくれる人になります。大人も育ちます。みんなで育っていきましょうね。

(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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  • 匿名 says:

    夫婦ともに好きな仕事をし、子どももいて、たいへんだけど、うらやましい。

    私には、ひとつづつしかかかなわなかったけれど、そのことも「完璧でなくて良い」と自分に言い聞かせようと思う。

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