川崎のプール水流出事故、賠償撤回の請願は不採択に 教育長、教員採用に「マイナスの影響」
北條香子 (2024年8月23日付 東京新聞朝刊)
川崎市立小学校でプールの水6杯分を流出させた教諭らに、市教育委員会が昨年8月、損害の半額の賠償を請求したことを巡り、市議会文教委員会は22日、損害賠償請求の撤回などを求める請願を賛成少数で不採択とした。
賛成したのは共産議員のみ
請願は川崎労働組合総連合(川崎労連)が6月に提出。教諭らへの損害賠償請求の撤回のほか、昨年9月に教諭らが納めた賠償金の返金、今後同様の事故発生時に損害賠償請求しないことを求めた。
請願に賛成したのは、いずれも共産の小堀祥子副委員長と市古次郎議員。反対した議員からは「責任の有無にかかわらず賠償しなくていいということはあり得ない」「市教委の判断は顧問弁護士らへの相談に基づき、撤回は難しい」といった意見が挙がった。
採決に先立ち、市教委の担当者は、文部科学省が7月に出した学校プールの適切な管理を求める通知について「賠償請求してはならないということではなく、事案に応じて判断すべきだという趣旨だと文科省に確認した」と説明した。
横浜市は教員への請求なし
市古議員は横浜市で昨夏と今夏、プール流出事故があり、いずれも教諭らに損害賠償請求しなかったことに言及。「横浜と川崎で判断基準に差異が生じている。川崎市の先生や教員志望者がどう感じるか」とただした。
これに対し小田嶋満教育長は「事実関係を確認した上で、校長も教員も過失を認めて反省し、賠償に応じている。教育委員会の判断は誤っていないと考えている」とした上で、「教員不足の中、これから教員を目指す方々に対する影響は明確に把握できないが、一定のマイナスの影響はあるのかなと思う」と認めた。
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